なぜ当初から副業人材だったのか・どう集めたのか
まず、overflowについてご紹介いただけますか。また、副業で事業に携わっている方が多いそうですが、そうなられた経緯や理由についてお聞かせください。
当社は「“時間”をふやす」をビジョンに掲げ、その実現に向けて、ITエンジニアやデザイナーの副業・転職サービス「Offers」を展開しています。現在メンバー150人のうち38人が正社員で、他7割が副業として業務に携わり、それぞれユニークなバックグラウンドを持っています。2017年に創業した頃は副業メンバーが9割で、2年半くらいは正社員ゼロという状態でした。なので、むしろ割合的には正社員が増えてきているのですが、他にメインの仕事を持つ人にそれぞれの専門性を発揮してもらうという基本的なスタンスは、当時も今も変わりません。
創業以前から、「事業は『人』が価値をつくるもの」と考えており、採用は経営における最重要課題の1つと認識していました。というのも、過去にも採用に苦労する様子を目の当たりにしており、自身が起業するに当たり、スタートアップにとって、まずは人材確保が大きなハードルになると思いました。そこで、他社でスペシャリストとして活躍されている方に副業として依頼することで、当社の事業に関わってもらおうと考えたわけです。もう1つは、起業後に事業をピボットすることは多く、人材に求めるスキルセットも変わる可能性が高いと考えました。その意味で、雇用の柔軟性も担保しておきたいと考えたのです。
副業メンバーについてはどのようにして集められたのですか。また、問題なくスムーズにいきましたか。
創業初期は、ほぼ創業メンバーの知り合いからの「リファラル採用」ですね。その後、採用広報を展開するようになり、ジョブディスクリプションとして「副業OK」をアピールしていたこともあって、インバウンドでどんどん希望者が集まるようになりました。ダイレクトスカウトを利用することなく、ほぼ“待ちの姿勢”で集まっていただいたというところです。
ただ、募集についてはあまり問題がなかったものの、実際の採用については、はじめからスムーズだったわけではなく、「期待値調整」がうまくいかずに苦労したことはありました。私たちも事業や組織のことなどについて伝えることはあっても、実際に担当していただきたい仕事や必要なスキルなどについて詳しく説明することを忘れがちで。改めて、お願いする内容やアウトプットの言語化に加え、スキルや志向とのすり合わせは大切だと感じました。「入ってもらってから考えよう」だと絶対ダメですね(笑)。結果として、来てもらったのに活躍いただけないというケースもたびたびありました。そこで今は、業務委託の方と話し合いをしてすり合わせたあとに、「オファーレター」という業務内容とスケジュールをまとめた合意書を取り交わすようにしています。