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イベントレポート《人的資本経営》| 統合報告書の分析

Unipos田中氏の「統合報告書を全部読んでわかったこと」《前編》――企業の課題は伸びしろになる


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 令和5年1月31日、2023年期末決算よりすべての上場企業に対して人的資本の開示の義務化が正式に金融庁より発表された。しかし、従来の財務情報の開示とは異なり、前例のない事態に「何を開示したらいいのか」と困惑している企業は少なくない。そんな人的資本経営に関わる経営者層や担当者に向けて開催されたウェビナーが「田中弦の人的資本開示マニアック報告会――統合報告書を全部読んでわかったこと――」である。Unipos株式会社 代表取締役社長CEOの田中弦氏が、プライム・グロース市場の上場企業3858社のうち、現時点で人的資本の開示を行っている957社の統合報告書を調査。同ウェビナーではそこから得た知見やノウハウが惜しみなくシェアされ、大好評を博した。本稿では、同ウェビナーで語られた人的資本開示の実例を前後編でお伝えする。

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田中 弦氏

田中 弦(たなか ゆづる)氏

Unipos株式会社 代表取締役社長CEO

1999年にソフトバンク株式会社のインターネット部門採用第一期生としてインターネット産業に関わる。ブロードキャスト・コム(現 Yahoo!動画)の立ち上げに参加。その後ネットイヤーグループ創業に参画。2001年経営コンサルティング会社コーポレイトディレクションに入社。 2005年ネットエイジグループ(現UNITED)執行役員。モバイル広告代理店事業の立ち上げに関わる。
2005年Fringe81株式会社を創業、代表取締役に就任。2013年3月マネジメントバイアウトにより独立。2017年8月に東証マザーズへ上場。2017年に発⾒⼤賞という社内⼈事制度から着想を得たUniposのサービスを開始。2021年10月に社名変更をし、Unipos株式会社 代表取締役社長として感情報酬の社会実装に取り組む。『心理的安全性を高める リーダーの声かけベスト100』(ダイヤモンド社)著者。

現時点で充実した開示をしている上場企業は4%

 およそ200時間かけて統合報告書を全部読んだという田中氏。冒頭で日本企業の人的資本開示に対する所感を次のように述べた。

  • プライム・グロース市場上場企業(3858社)のうち、人的資本開示をしている企業は957社。つまり、現時点で人的資本の開示を行っている上場企業は24%以下である(プライム市場905社、スタンダード市場51社)。
  • [独自の5段階評価(下図)によると、日本全体の開示充実度は「2.44点」。多くの企業が数字開示(女性活躍や男性育休取得の開示)にとどまり、目標設定がない企業が大半であった。
    一方、5段階評価において「5点」を獲得した企業は37社、「4点」が148社であり、人的資本開示が充実している企業(5点と4点)は上場企業のわずか4%ほど。目標設定の有無が重要な指標となることが分かった。
日本全体の開示充実度
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  • 業界別に見ると、装置産業や不動産業、鉱業、規制産業などは人的資本の開示充実度は低い一方、「人」がいないとイノベーションが生まれない医薬業界などは開示の充実度が高い傾向にあった。

 ここで人的資本開示について簡単に押さえておきたい。内閣府令の施行により、来期から全上場企業は人的資本に関して、「戦略」と「指標及び目標」について開示義務が発生することが決まった。さらに女性活躍推進法等に基づき「女性管理職比率」や「男性の育児休業取得率」「男女間賃金格差」を公表する場合には、有価証券報告書にも記載が必要となる。

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 そして、開示の指標として重要になるのが、「独自性」事項と「比較可能性」事項のバランスを確保すること。なぜなら、2022年11月に発表された人的資本可視化指針によれば、「企業のビジネスモデルや競争優位性の源泉が多様化する中で、比較可能(企業間の比較)な情報のみで企業の経営戦略や人材戦略を表現することはできない」としているからだ。つまり、国際企画「ISO 30414」に従っていればOKかというと、それだけでは足りない。自社の戦略や取り組みを説明するために、独自の開示事項を検討する必要があると田中氏は言う。

 「現時点の日本企業の統合報告書を見ると、数字の開示の90%以上が女性の管理職比率や残業代削減といった内容でした。つまり、目標を開示している企業(評価4点)、さらに中期経営計画と紐付いた課題と目標を示す独自指標まで開示している企業(評価5点)は、義務化前であり任意記載ということもあって非常に珍しいんです。また、301名以上を雇用している事業者は、そもそも女性活躍系の指標は開示義務があるため、上場/未上場にかかわらず、それだけで『人的資本の開示を頑張っている』とはなりません」(田中氏)

 では、実際にどのように人的資本を開示すればよいのだろうか。そこで、人的資本開示のフレームワークとして整理されたものが次図である。

[画像クリックで拡大表示]

 「どの企業にも理想や大儀があります。それがパーパスやミッション、中期経営計画ですね。そういった理想に対し、必ず現状の課題があります。しかし、多くの企業はこれまでインプット・アクションの開示、つまり課題や目標がない打ち手の紹介が中心でした。

  例えば、研修体系の図を開示するだけでは、どれだけすごい施策かは分かりません。研修の結果、『こういった人材が生まれています』とまで記されていなければ『なるほど』とはなりませんよね。つまり、今後はユニークな人的資本で課題が解決されて(アウトプット)、その企業ならではの成果(アウトカム)が人的資本の開示で中心となります」(田中氏)

 では、次のセクションから企業独自の開示により、田中氏が「珠玉の報告書」と称賛する事例を紹介していこう。

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この記事の著者

山田 優子(ヤマダ ユウコ)

神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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