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従業員エンゲージメント約1万人分の調査結果を発表、管理型の組織マネジメントが低スコアの原因―アジャイルHR

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 アジャイルHRは、インテージと共同開発した「A&Iエンゲージメント標準調査」の全国調査結果をもとに、日本の従業員エンゲージメントの実態に関するレポートを発表した。

 同調査では、従業員エンゲージメントを「ワークエンゲージメント+組織コミットメント」と定義し、各質問においてワークエンゲージメントまたは組織コミットメント、あるいは両方のスコアを算出している。「そうだ」4点、「まあそうだ」3点、「ややちがう」2点、「ちがう」1点として計算しており、平均スコアは2.5、スコアが高いほどプラスに作用しているという結果となる。

 同調査の概要は次のとおり。

  • 調査期間:2023年1月31日~2023年2月6日
  • 調査手法:インターネット調査
  • 調査対象:全国の10代~60代の男女9269人(インテージ マイティモニター登録者)

エンゲージメントが下がる要因は管理型の組織マネジメント

 ワークエンゲージメントのスコアに影響を及ぼす要因の1位は「役割明確さ」であった。自分の職務や責任が何かが分かっているかという問いに対して、回答者の88.5%が肯定的に回答している。2位は「仕事の意義」で、回答者の82.2%が自分の仕事には意味があると肯定的に回答していた。

 これらの2項目はどちらも「自分の仕事」が主語となっている。「仕事の適性」や「仕事のコントロール」を含めて、仕事による動機付けは、ワークエンゲージメントに対してプラスに働く要因となるようだ。一方で、スコアの低い「公正な人事評価」「キャリア形成」「上司のリーダーシップ」といった項目は、「会社」「職場」「上司」が主語となっている。

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 これらのことから、次の状況が読み取れる。

  1. 個人の成長やキャリア形成に資するフィードバック、教育機会、上司からの支援が十分でないと感じられている

  2. 職場のコミュニケーションが一方通行で、個人の考えや価値観が大切にされていないと感じられている

 多くの日本企業において、長い間、上意下達の目標管理による管理型の組織マネジメントが徹底されてきたが、そのような外発的な動機付けが、従業員エンゲージメントという、個人的な心理状態のポジティブ度を抑圧しているのではないかと、同社は推測している。

組織コミットメントが20代から30代で大きく下落

 次の年代別のグラフから分かるように、30代のワークエンゲージメントと組織コミットメントが最も低くなっている。20代から30代になるとともに従業員エンゲージメントは下落するようだ。

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 20代は上司や先輩からのケアや、研修機会も比較的多かったが、30代になると一人前とみなされ、孤立した状況を感じている可能性がある。とくに、組織コミットメントの落ち込み幅が大きく、その後、40代、50代になるにつれ多少の回復はするものの、スコアは2.5を上回らない。従業員エンゲージメントの全体平均を上げるためには、30代での落ち込みを防ぐ対策が必要と考えられる。

一般社員のエンゲージメントはパート・アルバイトよりも低い結果に

 次の図は、雇用形態・役職別のワークエンゲージメントと組織コミットメントの平均値を表している。

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 雇用形態別では、派遣社員のワークエンゲージメントと組織コミットメントが最も低い値を示した。

 一方で、ワークエンゲージメントは、会社員(一般社員)よりも契約・嘱託社員とパート・アルバイトのほうが高い。また、組織コミットメントは、会社員(一般社員)と契約・嘱託社員、パート・アルバイトがほぼ同レベルであることから、一概に、正規雇用のほうが従業員エンゲージメントが高いとはいえない結果となっている。

 会社員の役職別で見ると、役職が上の人ほどワークエンゲージメントと組織コミットメントが高く、会社生活が充実していくようだ。経営層と下位層との温度差は非常に大きいといえる。

 従業員エンゲージメントの全体平均を上げるためには、非管理職と非正規雇用に対する動機付けや成長支援が必要だと考えられる。

ワークエンゲージメントには業界特性が反映される

 次の図は、業種別のワークエンゲージメントと組織コミットメントの平均値を表している。

[画像クリックで拡大表示]

 業種によって、従業員エンゲージメントの水準はかなり異なっている。とくに、ワークエンゲージメントの差は大きく、最も高い「教育・学習支援業」と最も低い「製造業」とでは、0.42の開きが見られた。

 理由としては、業種によって、「仕事の意義」が明確である、「仕事の適性」に合った人が就職している、「仕事のコントロール」が個人の裁量に委ねられやすいといった業界特性が考えられる。

 従業員エンゲージメントの全体平均を上げるために、特定の業種に限った対策を施すことは難しいため、それぞれの会社において、年齢別や雇用形態・役職別の対応策を講じることが必要だと同社は述べている。

 なお、従業員規模別の切り口では、顕著な傾向は見られなかった。

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 なお、同調査の詳細な結果は、こちらのWebサイトからダウンロードできる。

【関連記事】
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HRzine編集部(エイチアールジンヘンシュウブ)

労務管理から戦略人事、日常業務からキャリアパス、HRテクノロジーまで、人事部や人事に関わる皆様に役立つ記事(ノウハウ、事例など)やニュースを提供しています。

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