ライボの調査機関「Job総研」は、「2023年 ワークライフ実態調査」を実施した。
調査の概要は次のとおり。
- 調査対象者:全国の男女 20~50代
- 調査条件:20人~1000人以上規模の会社に所属しており、1年以内~10年以上勤務している社会人
- 調査期間:2023年4月14日~4月17日
- 有効回答数:796人
- 調査方法:インターネット調査
ワークライフバランスの理想は「プライベート重視」で72.2%
ワークライフバランスの理想を聞くと、「プライベートを重視」38.7%、「どちらかといえばプライベートを重視」33.5%の計72.2%が、「プライベート重視派」と回答した。「仕事重視」は27.8%で、内訳は「仕事を重視」が6.2%、「どちらかといえば仕事を重視」が21.6%であった。
一方、実際のワークライフバランスは、「仕事を重視」17.8%、「どちらかといえば仕事を重視」39.7%となり、過半数の57.5%が「仕事重視派」と回答した。「プライベート重視派」は42.5%で、内訳は「プライベートを重視」21.6%、「どちらかといえばプライベートを重視」20.9%という結果になった。
理想と現実のギャップが最も大きい年代は30代
ワークライフバランスの理想を年代別に見ていくと、「プライベート重視派」の回答は、20代が74.0%、30代が74.4%、40代が70.2%、50代が58.3%となり、30代が最もプライベート重視を理想としていることが分かる。
一方で、実際のワークライフバランスでは、全年代で 「仕事重視派」が過半数を上回る結果となり、理想と現実に大きなギャップがある結果となった。また、「プライベート重視派」の回答では20代が46.9%、30代が38.9%、40代が41.8%、50代が26.7%の結果となり、理想と現実で比較すると、30代の35.5%のギャップが最も開きがあった。
ワークライフバランスの影響は「仕事のモチベーション」最多
ワークライフバランスがどのようなことに影響しているかを聞くと、「仕事のモチベーション」が73.0%で最多であった。次いで「メンタル面」が68.0%、「体力面」48.9%、「スキルアップ」38.4%、「結婚のタイミング」35.1%と続いた。
また、転職を想定した場合の仕事選びで「プライベート時間を確保できるか」の重視度を聞くと、「とても重視する」37.1%、「重視する」36.7%、「どちらかといえば重視する」21.2%を合算した計95.0%が「重視する派」となった。
毎月の残業時間「30時間以上」は全体の24.2%
毎月の残業時間を質問したところ、「1~10時間未満」が26.8%で最多であった。「10~20時間未満」が19.6%、「0時間」が16.1%と続いた。「30時間以上」と回答したのは24.2%だった。
残業時間を働き方別で見ていくと、「30時間未満」が最多なのは「フル出社」(82.2%)で、「30時間以上」が最多なのは「フルリモート」(31.3%)であった。
プライベート時間の使い道は「1人の時間」が72.9%で最多
プライベートの時間に仕事の連絡があるか聞くと、「ある」が40.8%で「ない」が59.2%であった。「ある」を回答した人に連絡に対応するか聞くと、「電話もメール(SNS)も両方対応する」が42.5%で最多となり、次いで「メールやSNSのみ対応する」が29.2%、「基本的に対応しない」が15.1%、「電話のみ対応する」が13.2%となった。
また、プライベートの時間にメンタル面か体力面どちらのケアを重視しているかを聞くと、「メンタル面のケア」29.1%と「どちらかといえばメンタル面のケア」36.7%の計65.8%が「メンタル面のケア派」と回答した。「体力面のケア派」は34.2%で、内訳は「体力面のケア」15.5%、「どちらかといえば体力面のケア」18.7%であった。
プライベート時間に主に使っている時間を聞くと、「1人の時間」が72.9%で最多、次いで「家族との時間」が42.3%、「友人との時間」が27.9%、「恋人との時間」が19.6%、「子供との時間」が15.8%、「仕事に割いている」が3.4%という結果となった。
プライベートを充実させることの重要性についての回答は次のとおり。
- プライベートが充実すると「給与を上げたい」など仕事のモチベーションがあがる
- ライフを充実させるためにワークをしているので、ライフを重視したい
- プライベートを重視した働き方をしたいけど現実的には仕事に偏っている
- 仕事でのストレスをプライベートで発散するからまた仕事を頑張れる
- 仕事から離れてメンタルや体力のケアをする時間で仕事のパフォーマンス向上になる
同社のJob総研室長 堀 雅一氏は、結果から見える実情について次のようにコメントしている。
「今回実施した『2023年 ワークライフ実態調査』では、ワークライフバランスの理想と現実に大きなギャップがある結果になりました。全体の7割が『プライベート重視』を理想としている一方、実際には『プライベート重視』で働けているのは42.5%にとどまりました。年代別では20代・30代が『プライベート重視』を理想としている回答がともに7割を超えましたが、50代は6割にとどまっています。これに対して実際のワークライフバランスでは、全年代で『仕事重視』の働き方になっている回答が半数を超える結果になり、50代は7割が『仕事重視』と回答しました。
またワークライフバランスは仕事のモチベーションに影響するという回答が最も多く、仕事選びでも『プライベートの時間が確保できるかは重要』と7割が回答していることから、全体的に残業を少なくプライベートを重視した働き方を理想としている傾向が見られました。
毎月の残業時間では『30時間未満』が6割で、そのうち『20時間以内』の回答は4割になり、過度な残業を強いられている割合は比較的少ない印象です。これを働き方別でみていくと、残業が最も少ないのは『フル出社』で、8割が毎月の残業時間を30時間未満に抑えていて、20時間未満で7割になりました。しかし業務時間外のプライベート時にも、仕事の連絡が入ることはあります。これに対して8割が業務時間外に入る仕事の連絡にも『対応する』と回答していることから、残業時間として計算されない業務時間外に多くの社会人が仕事の対応をしていることも分かります。労働基準法の改正により時間外労働に関する賃金割増率が変わり、長時間の残業が減っていく傾向にありますが、実態は業時間外のプライベート時にも仕事の対応をしているということが分かります。
さらに理想とのギャップに少なからずストレスを感じていることが分かるデータとして、プライベートの時間に最も重視しているのは『メンタル面のケア』という結果です。また『1人の時間』に最も時間を使っていることからも、仕事で抱えているストレス緩和するため、プライベートの時間では『1人の時間』に多く使い、メンタル面のケアを重視した時間の使い方を選んでいることが推測できます。
近年コロナ禍も相まって働く環境は大きく変化しましたが、ワークライフバランスの理想と現実には大きなギャップが生じていることが分かる調査結果になりました。コロナが5類に移行したことで原則テレワークから原則出社に戻る傾向も見られる中、こうした情勢が今後ワークライフバランスの理想と現実のギャップにどのように影響していくかなどを含め、Job総研で追って調査してまいります」
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