ITSS(IT Skill Standard:ITスキル標準)とは、ITスキルの業界標準を定めた指標。経済産業省がIT関連サービスの提供に必要なスキルを分類し、それぞれにスキルセットを規定したもの。2002年バージョン1が発表され、現在の最新バージョンは3。定義されているスキルは11職種と35専門分野にのぼる。
今回発表されたITSS+は、従来のITSSが対象としている情報サービスの提供やユーザー企業のIS部門にかかわっている人材が、「セキュリティ領域」や「データサイエンス領域」のそれぞれに向けたスキル強化を図るための、「学びなおし」の指針として活用されることを想定して作成されたもの。ITSS+はITSSに統合されるものではなく、2領域に関して固有の整理が行われており、ITSSの構成とは異なっている。
IPAによると、ビッグデータやAI(人工知能)といった「第4次産業革命」に対応した新スキル標準の検討にあたり、専門分野の更なる具体化が求められる「セキュリティ領域」と、必要性が高まりながらもITSSには含まれていない「データサイエンス領域」について、過度的な取りまとめを行い、ITSS+として公開するにいたったという。
ITSS+の基本構成は次のとおり。
スキル領域/ 専門分野 (スキルカテゴリ) |
ITSSのキャリア・フレームワークの様式を活用 ※ただし、職種ではない。 |
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タスク・スキル |
iコンピテンシ ディクショナリ(iCD)のタスクディクショナリ、スキルディクショナリの様式に準拠 ※ただし、データサイエンス領域のスキルは、一般社団法人データサイエンティスト協会が公開している「スキルチェック」を活用。 |
セキュリティ領域
企業などにおいて、よりいっそうのセキュリティ対策が求められていることを受け、専門的なセキュリティ業務の役割の観点から専門分野を具体化している。専門分野とは、情報リスクストラテジ、情報セキュリティデザイン、セキュア開発管理など、経営課題への対応から設計、開発、運用保守、セキュリティ監査にかかわる13の分野。
また、これらの専門分野には、新たに創設された国家資格「情報処理安全確保支援士」(略称:登録セキスペ)が想定する業務を包括しており、情報セキスペ資格保有者にとっては、ITSS+を用いることで、実務の場で自らの専門分野の明示が可能になる。
データサイエンス領域
データサイエンス領域は、企業などの業務において、大量データを分析し、その分析結果を活用するための一連のタスクと、そのために習得しておくべきスキルがまとめられている。この領域はこれまでに公開されているITSSには含まれていない新規の領域で、一般社団法人データサイエンティスト協会のスキル委員会との協業により、タスクが策定された。
スキルの確認には、データサイエンティスト協会が公開している「スキルチェック」というツールが活用される。スキルチェックの中では、データサイエンティスト協会が2015年に公開した「データサイエンティスト スキルチェックリスト」を使用。チェック結果の保存やダウンロードも行える。スキルチェックには、422項目のスキルをすべてチェックできる「フルバージョン」と、必須項目のみがランダム出題される「かんたんバージョン」の2種類がある。フルバージョンの利用には会員登録(無料)が必要だ。