ライボの調査機関「Job総研」は、322人の現役大学生男女を対象に「2023年 生成AIの就活実態調査」を実施した。
学生の約9割が生成AIを知っておりそのうち約7割は使用経験あり
まず、生成AIを知っているか質問した。「知っている」92.9%、「知らない」7.1%という結果になった。「知らない」を選択した回答者に生成AIの機能を説明したうえで、回答者全体にその興味度を聞くと、「とても興味あり」34.5%、「興味あり」37.9%、「どちらかといえば興味あり」18.9%を合算した、91.3%が「興味あり派」となった。
次に、生成AIを知っていると回答した299人に生成AIを使用した経験を聞くと、71.2%が「使用経験あり」と回答した。「使用経験なし」は28.8%であった。また、使用目的を聞くと、「試しに使用した程度」が78.4%で最多であった。次いで「学校の課題提出で使用」が24.4%、「就活で使用」が15.5%、「論文の作成で使用」が4.7%と続いた。
就活での生成AIの使用意欲は約4割
回答者全体の322人に就活での使用意欲を聞くと、「使用する」15.8%、「多分使用する」25.8%を合算した41.6%が「使用する派」であった。「使用しない派」58.4%の内訳は、「使用しない」41.0%、「多分使用しない」17.4%となった。
また、生成AIが就活で役立つと思うかを聞くと、「とても役立つと思う」27.2%、「役立つと思う」33.9%、「どちらかといえば役立つと思う」30.3%を合算した、91.4%が「役立つ派」であった。「役立たない派」8.6%の内訳は、「全く役立つとは思わない」0.4%、「役立つとは思わない」3.9%、「どちらかといえば役立つとは思わない」4.3%となった。
使用目的は「エントリーシートの作成」「自己PR分の作成」など
就活で「使用する派」の134人に、使用目的を聞くと、「エントリーシートの作成」が59.7%で最多であった。次いで「自己PR文の作成」が50.7%、「情報収集」が46.3%、「業界研究」が43.3%、「面接対策」が26.1%、「その他」が7.5%と続いた。
回答者全体の322人に就職後の仕事での使用意欲を聞くと、「とても使用すると思う」15.8%、「使用すると思う」28.9%、「どちらかといえば使用すると思う」28.0%を合算した、72.2%が「使用する派」と回答した。
約6割がAIが代替すると思われる職種を希望から外す
回答者全体の322人にAIに代替されると思う職種を聞くと、「事務系」が60.9%で最多となった。次いで「ライター系」が43.2%、「技術職(開発・エンジニア系)」が27.6%、「管理系」が27.6%、「コンサルタント系」20.5%と続いた。これらの代替されると思う職種が就活での職種選定にどのように影響するかを聞くと、「希望から外す」14.9%、「多分希望から外す」46.9%を合算した61.8%が「希望から外す派」となった。
約95%が生成AIにポジティブ派
最後に、回答者全体の322人に生成AIに対する印象を聞くと「とてもポジティブ」24.7%、「ポジティブ」40.5%、「どちらかといえばポジティブ」28.8%を合算した94.0%が「ポジティブ派」となった。
また、AIの進化が人間の仕事を奪うと思うかを聞くと、「とても思う」13.4%、「思う」28.9%、「どちらかといえば思う」40.4%を合算した82.7%が「AIに人間の仕事を奪われると思う派」であった。
生成AIに対する学生の自由記述コメントは次のとおり。
ポジティブな意見
- 生成AIを使用する就活は当たり前になっていきそうだけれど企業の対応も注目したい
- 技術が発展すると同時に規制や取り決めをきちんと決める必要があると思う
- 人間の仕事を奪う可能性を調べて就活での企業選定や職業の志望が変わってきそう
- 人口減少によって労働力不足が加速する日本においてAIの力は必ず必要になると思う
- AIチャットによってなくなる職種もあれば、新たにつくられる職種もあると思う
- 試しに就活で必要な資料作成に使ってみたけれど、クオリティが高いもので驚いた
- 就活にAIを用いるのは企業側も同様だと思うので今後使っていきたい
- Aiチャットを上手に使いこなすための知見を高めることで他者との差が出る時代
ネガティブな意見
- 使い方を間違えると自分の思考がなくなっていきそうでこわいです
- AIが人間の仕事を奪うイメージが強いので職業選定は慎重にしていきたい
- まだ的外れな回答も多いので信頼性に欠けるし、個人情報の観点に懸念がある
- AIに就活で使用する資料をつくらせても企業側にばれたときのリスクが大きい
- 学校から使用制限が出されているが、個人の判断に依存するので制限には限界がある
- 生成AIで文章作成して課題提出をしている人がいたが自分のためにならないと感じた
- 就活のエントリーシートや志望動機、または自己PRなどをAIに任せるのは危険
- 優秀な人ほど、AIチャットを上手に活用しているように思える
なお、本調査の概要は次のとおり。
- 調査対象者:全国/男女/現役大学生、JobQ(ジョブキュー)サービス登録者
- 調査条件:24卒・25卒・26卒・27卒の大学生
- 調査期間:2023年5月31日~6月5日
- 有効回答数:322人
- 調査方法:インターネット調査
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