SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

直近開催のイベントはこちら!

HRzine×SmartHR 人材・組織活性化フォーラム

2024年12月6日(金)13:00~15:30

主要製品スペック一覧

人事業務の効率・確度・精度を高めるために欠かせないHRテクノロジー。その主な製品の機能を分野ごとに比較できる資料群です。製品検討の参考資料としてご活用ください。

eラーニング・LMS<br>主要製品スペック一覧 2024

eラーニング・LMS
主要製品スペック一覧 2024

その他のスペック一覧

人事労務管理システム<br>主要製品スペック一覧 2023

人事労務管理システム
主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム<br>主要製品スペック一覧 2023

タレントマネジメントシステム
主要製品スペック一覧 2023

人事にまつわる学術的なエトセトラ | #3

なぜテック企業は心理的安全性を重視するのか——両利きの経営と組織運営

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

 心理的安全性の重要性はアメリカのメガテック企業で見出され、確信が得られつつ、多くの企業に広く知られることとなった。その過程は果たして偶然なのか、あるいは必然なのだろうか。心理的安全性の再発見と一般企業への波及の理由を、メガテックの「イノベーションのジレンマ」と「両利きの経営」から読み解いていく。

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena

テック企業はなぜ心理的安全性の重要性にいち早く気づいたのか

 前回まで(#1#2)は、心理的安全性の重要性とその根拠、そして施策としての1on1の有用性を論じてきました。今回は、心理的安全性が可能にする組織変革の典型的なケースを述べていきたいと思います。

 心理的安全性が世に広く知られたのは、グーグルのレポート[1]がきっかけといわれています。もともとの提唱者はビジネススクールの教授であり[2]、いわばグーグルはそれを再発見した形です。なぜ彼らはその重要性にいち早く気づいたのでしょうか。

 それを読み解く鍵は、いわゆる「両利きの経営[3]」を補助線にすると分かりやすいと思います。両利きの経営は、ここ10年ほどで日本でも注目されてきている概念ですが、まずは「深化」と「探索」の両方を強みとして共存させる企業運営だという理解で結構です。

[1]: グーグルが社内リサーチ「プロジェクト・アリストテレス」の結果として2015年に発表(日本語ページ)。

[2]: エイミー・エドモンドソン教授(ハーバード・ビジネススクール)が1999年に提唱。

[3]: チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン著、入山章栄監修、渡部典子訳『両利きの経営(増補改訂版)』(東洋経済新報社刊、2022年)。原書初版は2016年刊行。

現代の企業に求められる「両利きの経営」

 「深化」とは既存の事業の改善・改良を意味する言葉で、それまでの延長線上でさらに量と質をスケールさせていくという考えです。

 一方、「探索」は新しいシーズ(事業の種)を探して見いだすことを意味し、新事業開発の際に必要になるものです。革新的なものであれば、それはイノベーションと呼ばれることもあるでしょう。

 それぞれのチームにはそれぞれの役割があり、それゆえ行動様式が異なります。

 深化チームには、無駄を取り除いていくことで効率を得る考えが浸透しています。とくに最終的なKPIが利益である場合、品質向上と経費削減は利益の深化に直結します。これは多くの組織に当てはまるので、理解されやすいのではないかと思います。

 探索チームは、既存の延長線上にないもので、今後のマーケットと自社にとって有益なシーズを血眼で探します。その際には既存の何かに似たものを見つけても意味はないわけですから、まったく新しいものをゼロベースで探すメンタリティが必要です。とにかく数を稼いで新しい可能性を見つけ出さなければいけませんから、走らずにいることが逆に不安になるような気質とたとえてもよいかもしれません。

 つまり、行動様式(エートス)が理念系として異なる、という構図があります[4]

 そして、その両方を共存させることは、現代の企業を取り巻く環境下ではとくに重要視されてきています。プロダクトサイクルが短く急峻になってきていることは、おそらく日々実感しているところではないでしょうか。

[4]: 理念系としてのエートスについて詳しく知りたい方は、マックス・ウェーバーの著作などを参照してください。本論では「深化」と「探索」を理念系としての行動様式(ウェーバー流のエートス)として扱います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー


次のページ
「両利き」の組織になることは根本的に難しい

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
人事にまつわる学術的なエトセトラ連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

佐々木 一寿(ササキ カズトシ)

経済評論家、作家。大手メディアグループ経済系・報道系記者/編集者、ビジネススクール研究員/出版局編集委員、民間企業研究所にて経済学、経営学、社会学、心理学、行動科学の研究に従事。著書に『KPIマネジメント』(日本経済新聞出版)など。コラムも多数。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
  • hatena
HRzine
https://hrzine.jp/article/detail/5623 2024/04/05 08:00

Special Contents

AD

Job Board

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

HRzine Day(エイチアールジン・デイ)は、人が活き会社が成長する人事のWebマガジン「HRzine」が主催するイベントです。毎回、人事の重要課題を1つテーマに設定し、識者やエキスパードが持つ知見・経験を、参加者のみなさんと共有しています。

2024年12月6日(金)13:00~15:30

イベントカレンダーを見る

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング