月刊総務は、全国の総務担当者を対象に「育児や介護・治療と仕事の両立支援についての調査」を実施し、その結果を発表した。
「ダブルケア」の理解は約3割にとどまる
「ダブルケア」とは何かを知っているか尋ねたところ、よく理解しているのは1割未満にとどまり、3割以上が言葉を聞いたことがないと回答した。
育児や介護による休業や退職、雇用形態の変更は、男性より女性のほうが多い傾向
育児や介護を理由に退職・休職した社員がいるかを尋ねたところ、育児は退職・休職ともに女性のほうが対象者が多いことが分かった。介護は男女差はあまりないが、育児に比べて男性の退職者が多かった。
両立のために雇用形態の変更をした社員がいるかを尋ねたところ、約4割の企業で育児のために雇用形態を変更した女性社員がいることが分かった。育児と介護においては女性のほうが該当者が多く、男女で負担に偏りがあるとみられる。
両立支援のために実施していることは育児休業・介護休業制度の導入が多数
両立支援のために実施していることについて尋ねたところ、「育児休業制度の導入」が87.0%で最も多く、「介護休業制度の導入」が78.6%、「柔軟な働き方の推進」が64.1%と続いた。
両立支援制度の利用について、育児は女性が多く、介護は男女差はないとの回答が多数
両立支援制度を利用している社員の男女比率について尋ねたところ、介護は約7割が「男女差はない」と回答し、育児は7割以上が「女性が多い」と回答した。
約8割が自社は育児休業が取りやすい文化だと回答。一方、介護休業が取りやすい文化だと思う企業は約6割にとどまる
自身の会社が育児休業を取りやすい文化だと思うかを尋ねたところ、約8割が取りやすいと回答。同様に介護休業についても尋ねたところ、取りやすいと回答したのは約6割で、介護休業は育児休業と比べるとまだ浸透していないことが分かった。
介護休業の取得目的は「直接介護をする必要があるため」が最多。約4割は取得目的を把握していない
介護休業を取得した従業員の取得目的について尋ねたところ、「直接介護をする必要があるため」が45.0%で最多となった。また、約4割が介護休業の取得目的を把握していなかった。
休業した従業員の業務調整は「現場のメンバーによる分担」が最多。介護と治療による休業は、約3割が会社による業務調整なしで現場への負担の懸念あり
休業した従業員の業務をどのように調整しているかを尋ねたところ、育児、介護、治療の3つ共通で、「現場のメンバーによる分担」が最多となった。また、介護と治療による休業は約3割が「会社として調整はしていない」と回答した。
4割以上が、介護・治療の両立支援に関する制度の通知・取得促進を何もしていない
両立支援に関する制度の通知・取得促進をどのような方法で行っているかを尋ねたところ、育児は「相談窓口の設置」が40.5%で最多だった。介護については42.0%、治療については48.9%が「何もしていない」と回答している。
両立支援の課題は「現場従業員の負担増」が最多
両立支援の課題や問題点について尋ねたところ、育児・介護・治療の全てにおいて、7割以上が「現場従業員の負担増」と回答した。
育児・介護・治療に関する実態把握は、いずれも「本人からの申し出」が最多
どのような方法で育児・介護・治療に関する実態把握をしているかを尋ねたところ、いずれも「本人からの申し出」が最多となった。
両立支援の自社評価、育児は7割以上が「推進されている」、介護と治療は約6割が「推進されていない」と回答
自社の両立支援をどう評価するかを尋ねたところ、育児については7割以上が「推進されている」と回答した一方で、介護と治療は約6割が「推進されていない」と回答した。
なお、同調査の概要は次のとおり。
- 調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
- 調査方法:Webアンケート
- 調査期間:2024年2月14〜21日
- 有効回答数:131件
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