Warisは、女性役員(経験者を含む)を対象に実施した「女性役員に関する調査 ~DE&Iの現状〜」の結果を発表した。
すでに複数人の女性役員がいる企業は約4割
女性役員の複数化に向けた進捗度合いについて質問したところ、「すでに複数人の女性役員がいる」が41.1%と最多となった。次いで、「2030年までに対応予定)」が17.0%、「期限は設けていないが対応予定」が15.2%と続いた。一方で、「予定はない」が12.5%と1割以上となった。
経営幹部や執行役員のサクセッションプラン(後継者育成計画)に一定数の女性を入れているか質問したところ、「はい」が51.8%と約半数を占めた。
女性社員の昇進意欲が低い要因は「ロールモデルの欠如」など
女性社員の昇進意欲を停滞させている要因について質問したところ、「ロールモデルの不足」「女性が管理職や役員を目指すことに対する周囲の理解や支援の欠如」が51.8%で同率1位に。次いで、「長時間労働などワークライフバランスへの懸念」「責任が重い仕事やマネジメント業務への負担感」が46.4%と同率となった。
女性役員や女性管理職を増やすために必要なことについて質問したところ、「柔軟な働き方の実現(フレックスタイム、リモートワークなど)」が42.9%と最も多く、次いで「業務経験、キャリア開発機会の男女格差是正(新規プロジェクトの企画、提案など)」が33.9%、「子育て、介護などのライフと仕事の両立支援(育児休業、介護休業、短時間勤務制度など)」が33.0%と続いた。
DE&I(特に女性活躍推進)に関して自身の関わりで改善したことがあるかと質問したところ、自由記述のコメントでは次の回答が寄せられた。
- 懇談会の実施により、女性社員が役職者(法務担当責任者)を目指すこととなった(40代 非常勤監査役)
- 過去DEI推進トップの立場にあった際、経営に働きかけ、管理職の数値目標を設定。本人の抵抗、全社的な理解不足の中、困難もあったが達成。結果10年経ったいま、プロパーの役員が複数名誕生。本人たちも「チャレンジ機会に感謝」と言ってくれている。短くない時間が必要だったが、当時の行動が確実な一歩だったと自負している(50代 代表取締役)
- 管理職の女性比率が0の状態から25%まで向上。これは単純に女性の数を増やしただけではなく、業務の状況や会社のフェーズを鑑みて理にかなった人材配置、採用をすることで、総合的な社員満足度を高めながら業務がよく回る組織を実現した(40代 取締役)
- 30代で役員に就任したため、フルタイムで子どもをどのタイミングで産むのかを非常に悩んだが、子会社の社長候補となり、異動を打診されたタイミングで会社を辞めた。今いる会社では、その人それぞれのライフプランも聞きながら、管理職にあげるタイミングなどを測るようにしている(50代 代表取締役)
次に、女性管理職増や女性役員増に向けての壁や打ち手に関して質問した。自由記述では次の回答があった。
- 製造業のため、男性比率が大きく、そもそも管理職を目指そうと思っている女性社員がいない。打ち手としては女性管理職サクセッションプランを作成し、育成する取り組みがない限りは、女性管理職はそもそも生まれない(50代 取締役)
- ある程度の外圧は必要。政府や東証などが主導して関連する公表指標などを整備すべき(65歳以上 社外取締役)
- 社会全体で、働く女性のサポートのインフラが不足していると思います。核家族化が加速する中、ベビーシッターなど、もっと気軽に利用できる環境が必要。利用する女性側も、躊躇の要らない社会的雰囲気や価格設定等が必要だと思う。日本は、家庭での食事、家事に求められる水準が高く、見えないところで女性に期待される役割やプレッシャーが多いため、このあたりの負担を具体的に減らす仕組みや社会の風潮が必要な気がする(40代 執行役員)
なお、同調査の概要は次のとおり。
「女性役員に関する調査 ~DE&Iの現状~」概要
- 調査期間:4月16日~30日
- 調査対象:女性役員(経験者を含む)
- 調査方法:Webアンケートフォームによる回答
- 回答数:112件
- 調査主体:Waris
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