A社の事業と採用
A社は、ITサービス事業を展開する10万人以上の従業員規模を持つグループ企業の中の1社です。保守・運用をメインとした信頼性の高いサービスを国内外に提供しています。
A社は、毎年50〜100人程度の総合職を新卒で採用しています。しかし、売り手市場かつ業界の中でも人材の獲得競争が激しい環境のため、優秀な人材の確保が難しくなっており、内定を出しても入社を承諾する学生の割合が年々減っている状態です。
A社では、適性検査、グループディスカッション、一次面接、最終面接の流れで選考を進め、自社にフィットする人材かどうかを見極めています。また、採用選考に参加する学生には、社員リクルーターが企業情報や選考プロセスに関する詳細な情報を提供しており、学生が安心して選考に臨み、意思決定ができるようサポートしています。
採用活動前に取り組んだこと
中期経営計画の変更に伴い、経営トップ層から人材に対する新たな要望が出されました。また、現場でもそれぞれが抱える課題に応じて、人材に対する要望が変化している状況にありました。
求める人材について全社レベル・現場レベル両方で同時に変化が起きているにもかかわらず、現状の採用要件を見直さないまま採用活動を続けることには、自社の求める学生を採用できないリスクがあります。そこでA社は、将来と現在の両方の視点から採用要件を見直すことにしました。
まず、将来視点で中期経営計画と連動した「求められる働きぶり」を明確にするために、事業トップおよび事業トップが推薦する人材へのインタビューとアンケートを実施しました。アンケートの設計では、回答結果が採用時に使っている適性検査と同じフレームでアウトプットされるものを活用しました。
次に現在視点で、現場の活躍者へのインタビューや適性検査の分析を行い、現場で求められる具体的なスキルや適性を明らかにしました。
こうして両視点で得られた情報を優先順位を付けながら統合し、「問題分析力」「主体的に人に関わる力」「困難な状況でも物事を進めていく力」を重視する、新たな採用要件を設定しました。
そして、新しく設定した採用要件の意味合いや合否基準を面接者に学んでもらい、実際の選考で見極められるよう準備しました。