3実施・回答収集の工夫
設問をしっかり設計しても、回答が十分に集まらなければ組織サーベイの意味は半減します。「いかに多くの従業員に、率直な回答をしてもらえるか」が、収集の肝となります。
まず、どれくらい有効な回答数を確保できたのかが組織サーベイの成否を左右します。サンプルが少なければ、特定の属性に偏った結果となり、組織全体の実態を正しく判断することができません。また、回答率そのものが低いと「どうせ答えても意味がない」と従業員に思われてしまい、次回以降のサーベイでさらに回答率が下がるという負のスパイラルに陥るリスクもあります。
そのため、回答を促進するための工夫を講じる必要があります。
回答を促進する方法
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- 定期的なリマインド
- 組織サーベイの回答収集期間中に、複数回にわたってリマインドを送ることが有効です。サーベイシステムによっては、未回答者のみに自動で通知を送る、といった機能もあります。
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- 部門ごとのきめ細やかな対応
- 特定の部署やチームで回答率が低い場合には、上司からの声がけや時間確保などのサポートが有効です。
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- 回答環境の整備
- PCだけからではなく、モバイル端末からでも答えられる形式にする、所要時間を明示する、など負担を感じさせない工夫が有効です。
こういった仕組み上の工夫も有効ですが、最も大切なのは「サーベイが本当に活用される」という信頼感です。形式的に実施するだけで結果を放置するようなら、次回以降のサーベイの回答はますます形骸化していくことでしょう。
だからこそ、サーベイの回答を集める段階から「どうフィードバックするか」「どうアクションにつなげるか」を見据えて取り組むことが重要となります。
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今回は、組織サーベイの「設計・実施」について見てきました。組織サーベイを単なるアンケートで終わらせず、組織改善につながる取り組みにするためには、
- 目的の明確化
- 適切な設問設計
- 実施・回答収集の工夫
という基本のポイントを丁寧に押さえることが欠かせません。一見難しくないように見えますが、この基本を外してしまい、サーベイをうまく実施できない組織は少なくありません。そして、何より大切なのは、サーベイを「実施して終わり」にせず、結果を分析し、フィードバックし、組織改善のアクションにつなげるというサイクルを回し続けることです。
次回は、次のステップである 「分析」と「フィードバック」について解説します。集めたデータをどのように読み解き、従業員に伝え、改善につなげていくのか。これを押さえることでサーベイの価値をいっそう高めることができます。