4. 訴訟になる前に取っておくべきだった対応(予防策)
(1)過重労働を防ぐ
今回は、1ヵ月に約154時間勤務、13日間連続勤務が認められ、過重労働であったことが認められます。
さらに、うつ病発症後、通院している時期においても長時間労働は続きました。平成29年3月22日から同年4月20日の間は87時間40分、平成29年4月21日から同年5月20日の間は84時間35分と、80時間超の時間外労働が2ヵ月間続き、民間であれば36協定の上限規制の違反内容です。
過重労働を防ぎ、Xの健康面に配慮していれば、自殺することはなく、訴訟の提起には至らなかったと思います。
(2)過労死にも注意
今回は、過重労働による精神障害での自殺でしたが、別の観点では過重労働から過労死につながるリスクがあります。
次図で示すとおり、健康障害のリスクは、時間外・休日労働時間が45時間を超えると高くなります。さらには、月100時間超または2~6ヵ月平均で月80時間を超えると、健康障害のリスクが非常に高くなります。
したがって、過重労働には、過労死、過労自殺のリスクが生じるため、長時間労働の抑制を図ることがとても重要です。
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