オンボーディングのフレームワーク「ACEモデル」
茂野 そうした課題を解決するため、成功している組織の共通点を言語化し、田中先生の学術的知見(組織社会化理論)と結び付いて生まれたのが「ACEモデル」です。基準がないと改善のサイクルが回らず、結果として現場の個別最適なOJT(属人化)に頼るしかありません。
田中 転職経験のないマネージャーがキャリア入社の人の困り事を理解できず、定着支援を現場に丸投げしてボタンの掛け違いが起こる。だからこそ、現場のマネージャーが理解できる思考の枠組みが必要です。それがACEモデルです。
ACEモデルでは、必要な要素を次の3つに整理しました。これらは現場の課題感(「うまく業務ができない」「組織になじめない」「自分の役割・意味を感じられない」)と組織社会化理論が符合しているところから導き出しています。
- Ability(技術学習)
- Culture(文化適応)
- Expectation(役割理解)
これらを茂野さんがACEモデルと非常に分かりやすくネーミングし、フレームワークにまとめてくださいました。
ただ現場の実状として、初日にPCのセットアップをしてコンプライアンス研修を受け、翌日からは「よろしく」と現場に放り出されるようなケースが少なくありません。
茂野 初日に「不明点はありますか?」と聞かれても、何が分からないか分からない。たとえば、営業職などでは強みや売り方が分からないと立ち尽くしますし、専門用語が多くて質問できず「消極的な人だ」と誤解されてしまう。だからこそ、初期の丁寧なケアが不可欠です。
田中 さらに、現場はA(知識提供)ばかりに偏りがちで、C(カルチャー)やE(役割)といった目に見えにくい要素はないがしろにされやすいです。
茂野 同時進行がベストですが、AはAIなどによるセルフラーニングが可能です。一方でCやE、特にCは人が介在しなければ構築できないため、最初に手厚くケアするのが効果的です。ただ、現代においてはそうした領域にもAIが活用でき、大きな優位点を得られるようになっています。
AIには本音や質問を吐露しやすい面がありますが、弊社のオンボーディング支援サービス「Onboard AI」には、そうして明かしてもらった本音や質問をまとめ、日報などとして出力する機能があります。さらにマネージャーには「自己効力感が下がっている」といった分析結果を伝えるほか、それへの適切なアプローチをレコメンドしてくれます。
マネージャーも本当は丁寧にケアをしたい。ただ課題が分からない。弊社のOnboard AIに限らず、オンボーディングにAIが溶け込むメリットは、課題を共有できることにあると思います。
田中 ケアしてほしいことは本当に十人十色です。技術的なこと(A)で苦労している人もいれば、役割(E)が分からなくて困っている人もいる。その2つは大丈夫だけれども、カルチャー(C)になじめなくて悩んでいるのかもしれない。AIはこうした「誰が何に困っているのか」という個別の適応課題を早期に検知し、素早く対応できる点にも長けています。
これまではメンバー全員に同じ関わり方をしていたことがマネージャーの業務負荷を高める一因になっていました。今回のサービスによって、本当にサポートを必要としている人に対して適切なタイミングでマネージャーが介入できるようになるという意味で、AIの活用は最適解だといえます。
茂野 そこはまさにAIが最も得意とするところだと思っています。画一的に行動を促すのであれば、従来のテクノロジーでもいい。個別のケースでさまざまな条件を鑑み、柔軟に対応できる点がAIを使う意義であり、個人的にAIがフィットしていると感じる部分でもあります。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「...
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