多様なバックグラウンドを持つ従業員を抱える企業にとって、いかにエンゲージメントを高め、組織をまとめていくかは共通の課題である。しかし、組織の声を拾うサーベイが、“アンケートを実施しただけ”になっている企業も少なくないだろう。そこで、株式会社LIXILで日本国内の人事領域の責任者を務める中井辰夫氏が、7月に開催された「HRzine Day 2026 Summer」に登壇。同社が内製している独自のサーベイ「LIXIL Voice」をどのように運用し、従業員エクスペリエンスの向上や課題解決へとつなげているのだろうか。グローバルで回答率90%超を誇るLIXIL Voiceを中心に、同社の「従業員エクスペリエンス向上」に向けた実践的な戦略とプロセスをお届けする。
多様な組織を支える人事戦略と従業員エクスペリエンスの向上
LIXILは、世界150ヵ国以上に従業員数約5万3000人を擁するグローバル企業だ。2011年に国内の主要な住宅建材・設備機器メーカー5社が統合して誕生した同社は、その後も複数の海外企業の買収を経て現在の体制となった。この組織背景について中井氏は、「さまざまなカルチャーやバックグラウンドを持った企業・従業員が集まってできている会社です」と説明した。
中井 辰夫(なかい たつお)氏
株式会社LIXIL 常務役員 Human Resources 部門 日本人事総務リーダー
2004年に日系リサーチ会社にて採用・教育業務からキャリアをスタート。その後、外資系飲料メーカーでのHRBP・タレントマネジメント担当、米系および欧州系製薬会社でのHR全般を歴任。日本企業のグローバル化やチェンジマネジメントといった「戦略人事・グローバル人事」をキャリアの軸として歩み、2020年にLIXILへ入社。プライベートでは、4人の子どもの子育てと2匹の犬の世話に奮闘する一面も持つ。
このような多様な組織をまとめるため、LIXILのグローバル人事チームは、「従業員の誰もが自信を持ちどこででも活躍できるようLIXILを革新的でインクルーシブな組織へと改革する」というミッションを共有している。そして、同社のパーパス「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」を実現するためのビジネス戦略「LIXIL Playbook」を支える人事戦略を構造化。「GPO Strategy House」と呼んで、戦略の柱やそれらを実現するための重要要素を明確にしている。
この戦略の柱の1つに据えられているのが、本講演のテーマである「従業員エクスペリエンスの向上」だ。中井氏は、「エンゲージメントの数値を直接的な目標にするのではなく、従業員の体験価値を高めることにフォーカスした結果、おのずとエンゲージメントが高まるだろうと考えている」と述べる。
「いかに『LIXILの従業員でよかった』『LIXILで働いていてよかった』と思ってもらえるか。そのために、会社としてどのような体験価値を従業員に提供していくのかといったことを考えながら、我々は人事戦略を進めています」(中井氏)
中井氏は、そのために運用しているツールとして、従業員のニーズを拾い、課題感を把握する従業員エクスペリエンスプラットフォーム「LIXIL Voice」を紹介した。
スピードと柔軟性を求めて——サーベイ内製化の裏側
LIXIL Voiceは、毎年1回実施される全社規模のサーベイであり、在籍3ヵ月以上の直接雇用されている全従業員を対象としている。工場で働くパートタイム社員や契約社員なども含まれ、全世界のグループ会社を1つのプラットフォームでカバー。集めたデータをいかに現場のアクションへとつなげるかに重きを置いており、サーベイ結果は世界中の約4000人のマネージャーに対してダッシュボードを公開する仕組みだ。
特筆すべきは、サーベイの設計から運用、分析に至るプロセスを内製化している点である。以前は外部業者に委託していたが、費用面だけでなく、スピードと柔軟性を重視して2020年に方針を転換した。特にスピード感において、内製化の恩恵は計り知れないという。
「以前のサーベイですと、サーベイが終わってから外部のベンダーが分析をしており、レポートバックが返ってくるまで1ヵ月半ほどかかっていました。一方LIXIL Voiceでは、クローズした瞬間に結果がダッシュボードに反映されているため、クローズして2週間後には、経営陣に対する報告を終えられます。このサーベイが終わってからアクションにつなげるスピードの速さは、内製化の大きなメリットです」(中井氏)
次に、具体的なサーベイの項目や現場のアクションにつなげる仕組みを見ていこう。
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北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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