「会社の将来への自信」の要因は?追加サーベイで変わった経営陣のアクション
ここで中井氏は、サーベイ結果に基づく課題解決の例を紹介した。
2023年、全社サーベイを通じて、国内従業員のエンゲージメント強化には「会社の将来への自信」という要素が強く影響することが判明した。しかし、該当項目のスコアが芳しくなかったため、その要因を深掘りするべく国内の約2500人を対象に追加のサーベイを実施したのである。
当初、経営陣や中井氏は、住宅業界の着工件数減少という環境を踏まえ、業績やその見込みがエンゲージメントに直結しているのではないかという仮説を立てていた。しかしデータが示したのは、業績の良し悪しよりも、会社が今後どのように事業を成長させていくかというビジネス戦略や変革プランに対する理解度が、エンゲージメント向上においてきわめて重要であるという事実だった。
「私はこのとき、経営陣に対して『業績が上がればエンゲージメントが上がる』という単純な話ではないと、自信を持って報告できました。経営陣が考えている今後のビジネスの戦略、優先課題などをもっとクリアに伝えていくことが大きなポイントであるとの示唆を得られたのです」(中井氏)
これを受けて、CEOと従業員が直接対話するイベントを開催したほか、中途入社者向けの対面イベントを新たに実施した。サーベイ結果が、経営陣からの情報発信強化というアクションへと結びついたのである。
「もう説明した」と思っても、繰り返し伝えていこう
最後に中井氏は、LIXIL Voiceの運用において、特に重視しているポイントをまとめた。その筆頭が、人事から経営陣、現場人事、そして従業員に対する徹底したコミュニケーションである。
「社内のメンバーに対して、同じことを何回でも繰り返していきましょうと伝えています。『もうこれは説明した』と思っても、くどいくらいにコミュニケーションしないと伝わらない。現場の人事担当者や従業員に対し、なぜサーベイを行うのか、結果から何を読み取り、どう行動するのかを繰り返し伝えることが浸透の鍵だと思います」(中井氏)
また、スコアの値だけでなく、回答率と定性的なコメントの質も重視しているという。
「サーベイが従業員にとって良いものであるかどうかを判断するために、回答率は1つの指標になります。直近の回答率は91%ほど。グローバルでこれだけの回答があるというのは、LIXIL Voiceが浸透している証拠だと捉えています」(中井氏)
組織に浸透し、現場のアクションと変革に着実につながっているLIXIL Voice。サーベイを単なる測定ツールで終わらせないLIXILの取り組みは、組織課題に向き合う多くの人事担当者にとって有益な指針となるだろう。
この記事は参考になりましたか?
- HRzine Day 2026 Summer セッションレポート連載記事一覧
-
- LIXILの内製サーベイが“回答率90%超”を誇る理由 戦略を浸透させ、組織が変わるプロセ...
- なぜエンゲージメント施策は形骸化するのか ヤプリCHROが説く、社員を動かす「感情設計」
- その人材データは「意思決定」の場で使われているか?——良品計画が挑むタレントマネジメントの...
- この記事の著者
-
北浦 汐見(キタウラ シオミ)
都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
-
井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

