パーソル総合研究所は、AI時代に成果を生み出す人材・マネジメント・組織の条件を明らかにするため、「AI環境における人材とマネジメントに関する定量調査」を実施し、その結果を発表した。
AIの活用による業務効率化の実感が広がる一方、AIを「便利なツール」として活用するにとどまり、企業価値や労働生産性の向上といった十分な価値創出には結び付いていない。そこで同調査では、その違いを生み出す人材・マネジメント・組織の特徴について分析したという。
その結果、業務の成果を大きく左右する要因の1つは、AIの活用量そのものではなく、情報収集や優先順位付け、実地検証などの「メタスキル[1]」であることが判明。同じAIヘビーユーザーでも、メタスキルの高低によって業務成果に最大3.6倍の差があった。また、高い成果を上げる人材には、強い好奇心や多面的・長期的な視点を備える傾向が見られたという。
注
[1]: 同調査におけるメタスキルとは、AI活用において成果につながる「集める(構造的整理)」「決める(優先順位づけ)」「確かめる(実地検証)」「壊す(レジリエンス)」「蓄える(組織知の更新)」といった能力の総称。
同調査の結果は以下のとおり。詳細はプレスリリースを参照のこと。
AIの普及と職場の変化
- 正規雇用者の生成AI利用率は54.3%、半年で12.4ポイント増加:正規雇用者の生成AI利用率は54.3%と半年で12.4ポイント上昇した。利用率の拡大に加え、ヘビーユーザーの増加や世代間格差の縮小も見られ、生成AI活用は普及段階から定着段階へ移行しつつある。
- AI活用が進むほど、業務・組織課題が顕在化:AI活用が進むにつれて、指示の出し直しや前提入力の負担といった業務課題に加え、教育・サポート不足やデータ・手順の部署間分断など組織課題も大きくなっていた。
- AIヘビーユーザーの約3割が「人よりAIに話すほうが気楽」、AI活用が進むほど「上司よりAIに相談」が増加:生成AIは単なる業務支援ツールにとどまらず、相談や思考整理の相手としても活用されていた。AI活用が進むほど上司よりもAIに相談する割合が高まるなど、職場における相談行動にも変化が見られた。
AI環境で成果を生み出す人材とは
- AI環境では「思考特性」の差が成果を左右する:非AI環境では「相談力」「対人感情のケア」「対人関係調整」などの対人特性が成果と関連していた一方、AI環境では「好奇心」や「レジリエンス(失敗や変化から立ち直る力)」、「メタ視点(一段上から全体を捉える視点)」などの思考特性の差が大きかった。
- 同じAIヘビーユーザーでも「メタスキル」が高いと業務成果は最大3.6倍差:生成AIの活用が広がる中、成果を左右していたのはAIの利用頻度そのものではなかった。情報収集や優先順位づけ、実地検証(確かめる)などの「メタスキル」が、業務成果と強く関連していた。
AI時代のマネジメント
- 「成果物管理者」から、人とAIの価値共創を支える「チューナー役(協働を支える調整役)」へ:AI環境(AIヘビー利用職場)では、「仕事の枠を示す」「裁量範囲を示す」「学びへの接続」といったマネジメント行動がパフォーマンス向上と関連していた。上司には、成果物を管理するだけでなく、人とAIがそれぞれの強みを生かして成果を高める環境を支える「チューナー役」としての役割が求められる。
AI時代の人材育成
- AI時代の人材育成には「手触り経験(現場で身体感覚を伴う経験)」「踏み出し経験(所属組織を超えた経験)」「見渡し経験(複数の立場や時間軸から俯瞰する経験)」が重要:AI環境で求められる「閃く(アニマルスピリット)」や「練る(立体思考)」という思考・マインドは、「手触り経験」「踏み出し経験」「見渡し経験」と関連していた。AI活用だけでは育ちにくい思考・マインドを育むには、これらの経験を意図的に設計することが重要である。
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