設立目的はクラウドに関する認識のギャップを矯正すること
――クラウド認定評議会(以下、CCC)はなぜ設立されたのでしょうか。
デジタル全盛の時代の中、CCCは2つの目的で設立されました。一つはITプロフェッショナルの方たちに新しいテクノロジーへの準備をしていただくこと。もう一つは、ベンダーニュートラルな資格を作ることです。AmazonやMicrosoftといった特定の企業に固定しない、世界に幅広く通用する資格を提供したいと考えています。
現在、私たちは「RU Digital Ready?(人も組織も、デジタルになる準備はできていますか? RU = Are you)」と顧客の皆さんに問いかけています。ベンダーニュートラルな資格を取得した組織の方であれば、この問いに答えられるでしょう。テクノロジーの動向に対しては、個々人はもちろん、組織としても対応していかなければならないのです。
また、現在でも同じ状況が続いていると感じていますが、CCCの設立当時、組織の方々が持つクラウドへの認識や知識と、実際の活用状況との間に大きなギャップがありました。ギャップとは、例えばクラウドを使った戦略、セキュリティに対しての認識、あるいはサービスマネジメントへの認識などです。中でも一番問題と感じたのは、クラウドに対する認識の差です。「クラウドコンピューティングとは何ですか?」と10人に聞くと、10人とも異なる返事をする。
そこで私たちは「クラウドコンピューティングとは何か」という問いに皆さんが同じ答えを出せるようにするため、専門のコースを設置しました。
――どのようなコースがあるのでしょうか。
一つはPCSM(Professional Cloud Service Manager)というコースです。日本でPCSMのトレーニングを実施した初日、「クラウドコンピューティングとは何か」と質問をすると、皆さんそれぞれ異なる内容を回答されました。ITスキル標準(ITSS)レベル4くらいの方々、いわばITのプロフェッショナルでもそのような回答だったのです。しかし、3日間のコースを終えた後に同じ質問をすると、皆さん同じ答えを持っていて、なおかつクラウドの複雑性についての理解まで到達していました。このようにCCCのトレーニングによって、クラウドへの認識のギャップは解消されていきます。
それとCCCは現在、IoTとビッグデータにも力を入れており、IoTF(Internet of Things Foundation)、BDF(Big Data Foundation)というコースをリリースしました。今後はCCCが網羅性を高められるように、アドバンスコースを開発していく予定です。最近ではブロックチェーンなど新しい技術が出ているので、我々のカリキュラムもそれらを包括するように組んでいます。
――入門コースのCTA(Cloud Technology Associate)も実践的な内容なのでしょうか。
そうです。CTA[1]は2日間のコースで、仮想マシンを使ったラボによる実践的なカリキュラムを組んでいます。重要なクラウドテクノロジーの要素を学ぶことがメインになっているので、IT入門レベルの方ももちろん、ITとは関係ない方、たとえば営業、マーケティング、マネジメントレベルの方も概要を把握するのにオススメです。クラウドはIT部門だけでなく、会社全体に影響を及ぼしますから。
注
[1]: 日本国内におけるCTAと同等の資格は、EXINの「Cloud Computing Foundation」およびCompTIAの「Cloud Essentials」。