LPIの細則変更の余波が背景に
――なぜこのタイミングでLPI日本支部を設立したのですか。
G.マシュー・ライス氏(以下、ライス):実は、LPI日本支部を立ち上げる準備は1年ほど前からしていました。その要因としては昨年、LPIの細則に変更が加えられたことが挙げられます。そして、新しい規則を適用するにあたって、早く動かなくてはいけない状況に至ったのです。加えられた変更とは、LPIの資格認定者がLPIのボードメンバーになれるようにしたことです。つまり、ボードメンバーを選ぶための投票ができるようになったのです。
――日本で受けた資格認定者の管理はLPI本部で行っているのだと思いますが、そうであれば細則を変更したからといって、日本支部を立てなくても、LPI-Japanを通してやればよいのではないでしょうか?
ライス:おっしゃるとおり資格認定者、つまりメンバーとの実質的なつながりは、基本的にLPI本部が管理しています。世界の各地域にあるパートナー(LPI-Japanなど)や支部が助けてくれはしますが、基本的なサービスは本部から行っています。これはどこの地域でも同じ仕組みです。
なぜ、このタイミングで日本支部を立ち上げたかということなのですが、LPI-JapanがLPIの支部となってくれることに関心を持っているならばそれでよかったのです。しかし、相談したところ関心がないことがわかりました。それでは新しい細則を展開するにあたり、自分たちでやるしかない。そうしてLPI日本支部を設立しようという流れになったのです。
日本だけではなく、数か月後にはブラジルに行き、ブラジルのメンバーに対してサポートができるように支部を立ち上げる予定です。また、EUもしかりです。EUという1つの仕組みがあるので、EUに1箇所、支部を設けていれば問題はありません。支部はドイツかオランダにと考えています。設立した各支部には、担当マーケットでメンバーのサポートをしてもらいます。ただ、いっぺんに全部立ち上げると行き詰まってしまうので、徐々に進めていく予定ですが。
――そうすると、支部を立ち上げるのは日本だけではなく、ブラジルやEUなど、世界各国で行われている動きということなのですね。
ライス:そうです。それも、やはり細則の変更に合わせた動きということです。
――LPIのメンバーという制度の導入は、なぜこのタイミングだったのでしょうか?
ライス:実は、LPIを立ち上げた当初、創立者は資格認定を受けている人にメンバーになってもらいたいと考えていました。ただ、発足したときにはまだ試験を受けている人がいなかったので、メンバーを募ることができなかったのです。もちろん、どんどん受験者が増えて認定者が増え、数年で状況は変わりました。しかしながら、その時のボードメンバー、とりわけトップのプレジデント(理事)は、認定者をLPIのメンバーにするということに関して優先順位を高く設けていませんでした。
ところが、2015年7月にボードメンバーがずいぶん入れ替わったのです。LPI創立者の数人がボードメンバーに返り咲き、私もエグゼクティブディレクターになりました。今から3年ほど前の話です。
ボードメンバーに返り咲いた創立者たちは、LPIの資格認定者が、まだLPIのメンバーになっていないことに驚きました。そこで1年半から2年ほどかけて、細則の変更を準備して詳細を詰めたのです。そして、2017年に細則に変更を加え、その後1年をかけ、資格を持っている人々がメンバーになりたいと思ったなら、メンバー登録できる仕組みの実現に向け、努力を重ねてきました。