事業戦略の実行のサポートが目的
――テラデータではピープルアナリティクスをどのような成果を出す業務と捉えていますか。
エレオノラ・マニュエル氏(以下、マニュエル):人事システムを含む様々なデータソースから集めたデータを分析し、事業戦略の実行をサポートする役割です。私たちが分析に使うデータは人事関連のものだけではありません。社内のデータソースとしては、財務、営業、オペレーション、生産性のデータのほか、定期的に行う社員の意識調査結果があります。また、ソーシャルメディアのデータのような外部のデータソースも使っています。
キース・サビッジ氏(以下、サビッジ):私たちの活動は、基本的に他の事業部門の活動と同じです。財務もマーケティングもデータなしで業務はできません。他の事業部門が自分たちの組織の目標達成のために実行しているのと同じように、データを使って業務を行います。
――事業戦略の実行をサポートする役割とのことですが、事業部門との連携はどのように行うのでしょうか。
サビッジ:人事には従来型の役割もありますが、各事業部門長からの人事への期待の高まりにより、事業戦略と人事戦略の整合性を取ることが求められています。その実現には人事も行動変革が求められますし、「真のデータ」の収集が必要になります。
例えば、退職する人がいたとしましょう。今までの人事であれば、退職理由を推測するストーリーを作って納得して終わりとしていましたが、本来は事実を正確に把握するべきです。ですから、私たちはもうストーリーは使いません。マーケティングが顧客の活動内容を把握しなければ行動できないとの同様に、人事も社員についての正確なデータを把握することが必要になるのです。
事業部門への提案機会については、営業研修が良い例になります。以前は営業担当者が研修を受けたとしたら、すぐに効果が出ると判断する傾向がありました。ですが、ある社員が研修を受けた後、売上という成果に結びついていないことがデータから明らかになったとしたら、そのトレーニングの効果はないということになります。データを正確に把握すれば、想像ではなく事実を基に次に何をするべきかを提案できるようになるのです。
――今の話に出てきた「真のデータ」はどうやって導き出すのですか。
マニュエル:異なるデータを集約することが重要です。人事や財務のデータに、社員への意識調査の結果からわかる会社に対して抱いている感情、対面での面接で得られたデータを組み合わせて分析しています。アナリティクスには3段階の成熟度がありますが、私たちは過去に何が起きたかを把握する「記述的アナリティクス」だけでなく、将来に何が起こりうるかを探る「予測的アナリティクス」を行う段階に達しています。