エンジニア育成はアウトソーシング化が強まる傾向
このようにITの現場は、働き方が変わり、技術が変わり、メンバーの確保も難しいという現実にさらされている。その中で、エンジニアの育成プログラムを社内で準備万端にしておくことは容易ではない。そのためだろう、カサレアルが提供している育成プログラムの採用状況を2015年と2019年で比較してみると、次表のとおり、2015年から2019年にかけて申し込み数は3〜4倍に増えている。この傾向は、事業会社(情報子会社含む)およびSIerともに変わらず、「社内のOJTで無理をするよりも、アウトソーシングして効率化を図るトレンドが見て取れます」と小林氏は分析する。
カサレアルが提供する新入社員研修にも変化が現れている。2015年は全件がServlet/JSPによるWebアプリケーション開発だったところから、2020年度はSpringBoot/RESTによるWebアプリケーション開発が約8割を占めるようになっているほか、若手や中堅エンジニアの育成に向けたカスタムメイド研修の要望が高まっているという。また、カサレアルが提供するオープン研修の受講状況について技術領域別に見ると、2015年は「Java・Spring・Java EE」「JavaScript」「iOS・Android」が3等分でシェアを占めていたが、2019年度は「Docker・Kubernetes」の割合が顕著に伸びている。
最後に、IT業界の新人育成について、小林氏は次のように見解を述べた。
「技術は絶えず進化・多様化しているのに、多くの企業では15年以上前に開発されたカリキュラムで新入社員研修を実施しています。いま求められているのは、『ゆるぎないシステム』をつくるエンジニアではなく、『変化に適応できるシステム』を開発できるエンジニアです。環境の変化に適応するために経営層のコミットは必須であるものの、だからといって、それを言い訳に思考を止めるようではいけません。社内の課題に対して共通意識を持つためには、関係者全員に最低限のITリテラシーが求められます。イベント、セミナー、ネット、書籍、研修などを活用して、変化に適応できる組織づくりを目指していただければ幸いです」(小林氏)