若手からの高評価につながったもの
Great Place to Work Instituteは1991年に米国で設立された機関で、世界60か国以上で従業員意識調査を行い、調査結果をもとに毎年「働きがいのある会社」ランキングを発表している。同調査の参加企業は7000社以上、回答従業員数は500万人以上という。調査では次図のように、従業員へのアンケートと会社へのアンケートの2つを実施。働く人の声と会社の施策の両面から評価が行われている。
2020年版 日本における「働きがいのある会社」ランキングは2月26日に発表。従業員数1000人以上の大規模部門では25社、従業員数100〜999人の中規模部門では65社、従業員数25〜99人の小規模部門では65社が、働きがいのある企業として選出された。なお、大規模部門の1位はセールスフォース・ドットコム、中規模部門の1位はコンカー、小規模部門の1位はスタメンだった。
今回のセミナーで発表された2020年版 日本における「働きがいのある会社」若手ランキング(以下、若手ランキング)では、2020年版 日本における「働きがいのある会社」ランキングに選出された合計155社から、特に若手(34歳以下)の働きがいに優れた企業を部門ごとに5社ずつ、合計15社を選出。「若手従業員のアンケート結果」「若手従業員の働く環境のための会社施策・プログラム」「若手従業員比率などの企業データ」を評価基準とした。
そもそも、なぜ今若手ランキングを実施したのか。その背景について荒川氏は、企業が抱える次の3つの課題を挙げた。
- コロナで加速する若手の価値観の変化
- 少子高齢化社会における優秀人材の獲得と定着
- 育成リソースの不足や環境変化のスピードに対応した、早期戦力化
そして、このような状況下では、若手の働きがいを高めることはますます重要になると考え、積極的に若手に対する施策を打っている企業にスポットを当て発信することにしたという。
では、若手ランキングに選出された企業は何を評価されたのか。従業員へのアンケートで、大・中・小規模に共通して評価されたのは「入社した人を歓迎する雰囲気」があること。また、中・小規模で評価されたのは「温かい雰囲気の会社」であることで、職場の連帯感が従業員からの評価の高さにつながったようだ。実際、選出企業では次図のように連帯感を高める施策が行われている。
このように若手の働きがいにとって重要な連帯感だが、この数か月はそれを押し下げる状況が発生している。原因は新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの広まりだ。