心理的安全性に行き着いた理由
「企業とユーザーが融け合う」社会の実現をビジョンとして掲げ、ノーコードによるカスタマーサクセスプラットフォーム「commmune(コミューン)」を提供する株式会社コミューン。顧客企業のカスタマーサクセス(顧客満足)に取り組んできた同社が、自社内のエンプロイーサクセスを実現するために「心理的安全性プログラム」を開発し、実施に至ったのは、2019年9月のこと。その経緯について、同社でエンプロイーサクセス担当として従事する緒方氏は、次のように説明する。
「当社の創業メンバー3人は大学での友人同士。なんとなくコミュニケーションをとる中で、お互いの考えていることは手にとるように分かり合えていた。それが、新しく人が入ってきたことで“積極的に”コミュニケーションを取らないと意識に齟齬が生じると気づいたというのが、取り組みの端緒でした。しかし、飲み会などを開催して私的には仲良くなっても、業務的な面でのコミュニケーションや成果につながっているかといえば、疑問が残る。これはコミュニケーションについて、体系的に考える必要があるのではないかということになりました」(緒方氏)
しかしながら、当初は漠然とした「社員同士の信頼関係」をどうするかという課題感の下、様々なコミュニケーション施策を実施。しかし、信頼関係の構築のために交流をしていたはずなのに、いつからか交流すること自体が是とされ回数をこなすようになってしまい、まずいと思って改善に取り組み始めたという。
「『信頼関係』というふわっとしたものについてずっと考えてきたのですが、そもそもこれは一体何であり、どんな関係性を目指すのかの定義が必要でした。そこで、共同創業者の橋本がGoogle出身ということもあり、Googleリサーチチームが発表した『心理的安全性』に関するドキュメントを参照し、ふんわりと“社員間の関係性を深める”ことを目指すのではなく、『心理的安全性を高める』ことを目的とすることを決めました」(緒方氏)