オラクルが身をもって示す「組織・人のクラウドシフト」
日本オラクルは、様々なアプリケーションやプラットフォームを提供しつつ、同時に自社製品の活用による組織・事業変革に注力してきた。そして、その変革はHR領域においても例外なく行われた。
「我々オラクルは自社製品を自ら活用して、ユーザーの皆さんに示すノウハウを蓄積する『Oracle@Oracle』と題したプロジェクトを進めてきました。現在、オラクルはビジネスの軸足の大部分をクラウドに移しましたが、それを単なる『ユーザーごと』ではなく『自分ごと』として捉え、まずは我々自身のクラウドシフトを実現しようと考えたのです。そこで直近の10年間は、テクノロジー変革を“てこ”とした『組織・人のクラウドシフト、およびグローバル化』を大きなテーマとしてきました。」(一藤隆弘氏〈以下、一藤氏〉)
オラクルは多くの人が知るとおり外資系企業だが、国内の法人である日本オラクルは、東証1部上場企業でもある。そのため、社内には日本企業的なカルチャーも多く持ち合わせており、他の日本企業同様、組織変革の道のりは決して容易ではなかったと一藤氏は語る。
テクノロジーを活用した組織変革において、同社が核としたのは「HR領域の完全クラウド化」、そして「HRオペレーションの完全グローバル化」であった。これら2つの核を達成するために、自社製品である「Oracle Cloud HCM」を活用。社員の採用から退職に至るまでのライフサイクルのデータを、クラウドにおいて一元管理するのだという。
「人材データをすべてクラウドへ集約することで、グローバル規模での組織決定、タレントマネジメントが可能となります。HRオペレーションに関してもグローバル化を達成済みで、現在はペイロール(給与支払い)をはじめとする様々なオペレーション業務機能を、国外のグローバルサービスチームに集約しています」(一藤氏)
しかし、クラウドシフトそのものは、あくまでも組織変革の一手段に過ぎない。クラウドシフトを起点として、最終的には組織と人が変わらなければならないのだ。そこで同社は、組織と人の在り方を抜本的に改革する数々の独自施策を行ってきた。