アイデムは、個人の副業・兼業に対する意識や実情を明らかにすることを目的に、副業に関する調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査対象:副業に興味がある、もしくは既に副業をしている18~70歳
- 調査方法:インターネット調査(クロス・マーケティングのモニター)
- 調査期間:2022年2月18日~20日
- 有効回答数:600名
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
就業規則内に副業・兼業の規定があるか
対象者全員に、本業として勤める企業では、就業規則の中に副業・兼業に関する規定があるかを聞いた。全体では、「規定がある」が35.2%、「規定がない」が33.5%、「わからない」が31.3%だった。副業の経験別に見ると、副業を「したことはない」人の所属する企業では「規定がある」が40.5%で最多に。「現在副業・兼業をしている」人の所属する企業では「規定がない」が37.0%で最多だった。
所属企業の副業許可別に見ると、副業が「認められている」企業では「規定がない」が最も多く44.1%だった。副業を「認められていない」企業では「規定がある」が最多の56.9%だった。副業を認めていない企業では、禁止規定を定めていることが多いようだ。また、副業の許可について「わからない」人は、副業の規定の有無も把握していない場合が多いようで、「わからない」が最多の74.0%となった。
本業の労働時間
対象者全員に、本業として勤める企業での、週当たりの実労働時間(残業時間も含む)を聞いた。全体で最も多かったのは「週40時間以上」で32.0%以上、次いで「週10時間未満」が25.3%、「週30時間以上40時間未満」が18.2%となった。
現在副業をしている人に絞ると、最も多かったのは「週10時間未満」の33.3%だった。週30時間未満までは、全体平均よりも高くなっている。現在副業はしていないが、副業に興味がある人に絞ると、最も多かったのは「週40時間以上」で40.7%だった。30時間を超える労働時間の人の割合は、全体の平均よりも多い。
副業・兼業の労働時間
現在副業をしている人に、副業・兼業の週当たりの実労働時間(残業時間を含む)を、副業に興味がある人には、実際に副業・兼業を始めるとしたら、週何時間程度費やすことができると考えているかを聞いた。
全体で最も多かったのは「週5時間未満」で45.7%となり、およそ半数となった。次いで多かったのは「週5時間以上10時間未満」の30.3%で、時間が多くなるにつれ回答割合は少なくなった。現在副業をしている人が実際に副業・兼業で働く時間と、副業に興味がある人が考える副業に費やせる時間に、大きな差はみられなかった。
本業以外に仕事を持つ理由・持ちたい理由
現在副業をしている人に、本業以外に仕事を持つ理由を、副業に興味がある人に、本業以外に仕事を持ちたい理由を聞いた。全体で最も多かったのは「自由に使える資金を得たいから」で41.7%、次いで「生活する上でさらに収入が必要だから」が33.2%、「余暇時間を活用したいから」が28.5%となった。
現在副業をしている人の選んだ理由の中では、「自分の技術・能力を試したいから」(17.0%)、「やってみたいことがあるから」(14.3%)、「本業ではできないことだから」(16.3%)が全体より高い。挑戦や興味関心が意欲の基になっている人がいるようだ。副業に興味がある人の理由の中では、全体上位3項目が特に高くなっている。特に収入目的で副業に関心を寄せている人が多いようだ。
副業・兼業のメリット
現在副業をしている人に、副業・兼業を始めて得られたメリットを、副業に興味がある人には、副業・兼業をすることで得られると思っているメリットを聞いた。現在副業をしている人では、最も多かったのが「好きな時間に働ける」で30.3%、次いで「収入への不安が減った」が29.3%、「自分の自信につながった」が17.0%となった。
副業に興味がある人が考えるメリットとして最も多かったのは「収入への不安が減った」で53.0%、次いで「好きな時間に働ける」が34.0%、「セカンドキャリアにつながった」が19.0%となった。特にこれから副業をしたいと考えている人の中では、副業・兼業をすることが、収入や失業に関する不安の払しょくにつながると思っている人が多いようだ。「転職先の候補になった」という意見は1割未満だった。
副業・兼業のデメリット
対象者全員に、副業・兼業をするうえで考えられるデメリットは何かを聞いた。全体では、「余暇活動が取りにくい」が24.2%、次いで「収入に満足できない」が21.2%、「長時間労働になる」が20.5%となった。現在副業をしている人では、「特にない」が最も多かった(31.3%)。およそ3割の人は現状マイナスと感じることがないようだ。
副業に興味がある人の中では、「長時間労働になる」がデメリットの中で最も多かった(27.7%)。「余暇活動が取りにくい」「本業の繁忙期には思うようにできない」という意見も多く、時間管理で懸念点が多そうだ。「行政手続きの手間がかかる」や「健康を害す」については、まだ副業をしていない人にとっては懸念事項のようだが、実際に始めている人にとってはあまりデメリットとして捉えられていないようだ。
本業への満足度
対象者全員に、本業への満足度を、現在副業をしている人には、副業の満足度を聞いた。本業への満足度は、「満足している」が25.8%、「どちらかというと満足している」が40.2%で、7割弱の人が満足と回答した。副業の実施状況別に見ると、「副業をしている」人の方が本業にも満足している割合が多くなった。副業への満足度は、「満足している」が28.0%、「どちらかというと満足している」が47.7%で、8割弱の人が満足と回答した。
本業の満足度別に見ると、本業に「満足している」人の場合、副業も「満足している」が59.6%、「どちらかというと満足している」が27.5%となり、9割弱が満足と回答した。一方で、本業に「満足していない」人の場合、副業も「満足していない」(39.4%)「どちらかというと満足していない」(18.2%)という割合が増えた。
収入と副業・兼業への考え
対象者全員に、本業での収入が自身の満足できる額である場合、副業・兼業はどうするのかを聞いた。副業に興味がある人には、副業をしていると仮定して答えてもらった。全体では、「収入に関係なく、副業・兼業を行う」が41.5%、「収入が充分なら、副業・兼業の仕事を調整する」が32.2%、「収入が充分なら、副業・兼業は行わない」が26.3%となった。約4割は、本業の収入に関係なく、副業を続ける意思があるようだ。
副業状況別に見ると、現在「副業をしている」人では5割以上が「収入に関係なく、副業・兼業を行う」とし、今はしていないが「副業に前向き」な人は「収入が充分なら、副業・兼業は行わない」が34.3%と高くなった。
本業の月収別に見ると、月収が高くなるにつれ「収入に関係なく、副業・兼業を行う」と回答した割合が増加した。一方で、本業の月収が「1~10万円未満」の場合、副業・兼業を収入補填的に捉えている人が多いようだ。
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