日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は、新人・若手社員の育成施策担当者を対象に、「新人・若手社員の育成施策調査」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査方法:インターネット調査
- 有効回答:1000名
- 調査時期:2022年7月
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
課題のトップは3年変わらず「成長意欲を持ち、必要な経験を自ら開拓する」
課題の1位は、「成長意欲を持ち、必要な経験を自ら開拓する」(61.5%)だった。2020年から3年変わらずトップに挙がっており、多くの育成施策担当者が新人・若手社員に課題感を持っているにもかかわらず、改善策を見出しにくい普遍的なテーマであることが分かる。
また、昨年と比較して最もポイントが上がっていたのが、「ビジネスマナーなど仕事の基本習得」(47.8%、昨年より12.6%増)だった。ビジネスマナーは、本来であれば入社初期の研修で学ぶような基本的な課題。コロナ禍が3年目となり企業により働き方が定まってきたことで、本来の基本的な課題に目を向ける余裕が出てきた、と考えられるかもしれない。
89%がOJTに「課題あり」と回答、具体的な課題は「指導者側」の課題
新人・若手社員のOJTについて、89%の育成施策担当者が、「全体的に課題がある」「部分的に課題がある」と回答した。
課題の1位に挙がったのは、「指導側に余裕(時間)がない」(64.7%)、次いで「指導側の能力によって、指導にバラツキがある」(63.6%)、「指導側の意識や能力が不足している」(42.0%)となり、OJTの主な課題は「指導者側」にあることが明らかになった。
Off-JTでは「集合研修の良さを生かしきれていない」「職場での行動変容につなげられていない」が課題の上位に
新人・若手社員のOff-JTに関しては、84.7%の育成施策担当者が「全体的に課題がある」「部分的に課題がある」と回答した。
具体的な課題の1位に挙がったのは、「集合研修の良さを生かし切れていない」(41.0%)。特にコロナでオンライン研修の機会が増えたことにより、「集合研修ならではの体験価値を増やしたい」と考える育成施策担当者が多いことが予想できる。一方で、「オンラインの良さを生かし切れていない」(35.3%)も上位に挙がった。各研修スタイルに応じて、その効果を最大限高めるにはどうしたらよいのか、多くの育成施策担当者が頭を悩ませていることが分かる。
約77%が自己啓発施策に「課題あり」、「自発的に学ぶ習慣がない」が課題の1位に
新人・若手社員の自己啓発施策について、77.4%の育成施策担当者が「全体的に課題がある」「部分的に課題がある」と回答した。
課題の上位3つに挙がったのは、「自発的に学ぶ習慣がない」(47.1%)、「受講率(参加率)が低い」(40.2%)、「学ぶ時間がとれない」(38.6%)となった。自己啓発とはいえ、すべてを本人任せにしていたのでは受講率を伸ばすのは難しいということだろう。実際、改善策を聞いた結果では、学ぶ動機づけや意欲向上を促す項目が上位にランクインした。
なお、同調査の全結果データは、同社のWebサイトから無料でダウンロードできる。
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