人事の中で高まる「チーム」への関心
従来、企業の人事の関心事は「どうすれば個々の社員が成果を上げられるか」というように「個人」に焦点が当たっていましたが、近年では「チーム」への関心も高まりつつあります。
「チーム」の定義はさまざまですが、この記事では何らかの目標達成を目指す集団を包括的にチームと定義し、長期的に存在してメンバー個人の在籍母体となる「○○課」のような集団から、一時的な選抜チームであるタスクフォースやプロジェクトチームまでを含む広義な概念と捉えて話を進めます。
チームへの関心が高まっている理由としては、人材不足などの人事課題が深刻になり、「成果が上がるチームをつくりたい」「チームを成功に導く要因を明らかにして、効果的な組織づくりを行いたい」というように、限られた人材で成果を最大化する必要性が増してきたことが挙げられます。また、人的資本情報開示に関するガイドライン「ISO30414」において異動の領域が提示されていることも、社内で人材の流動性を高めようとする動き、ひいてはチーミングの機会増加の背景として考えられます。
しかし、「1+1を2以上にしていくチーム」を実現するためにはどのような打ち手が考えられるのか、また、どういったデータや分析をもとにすべきなのか、イメージできている人事の方は少ないのではないでしょうか。
たとえば、筆者に寄せられる相談のうち、チームに関して次のような声があります。
- 自社において成果を上げ続けているチームにはどのような共通特徴があるかを明らかにしたい
- 最適なチーム編制や異動を、効果的に行うためのルールやポイントを明確にしたい
- アセスメントデータを使ってチーム編制を行いたいが、どのようにすればよいのか分からない
- チームパフォーマンスを向上させる「チームビルディング」の方法やポイントを知りたい
以上の声に加えて、「自社で分析をしたいが、必要な観点や切り口、分析の手順が分からない」という相談が多いです。