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人事労務担当者のための職場トラブルのトリセツ | #4

障がい者雇用でよくあるトラブルの3つの事例と対応方法 適切な評価・フィードバックとは?

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 政府の調査によると、現在日本国民のおよそ9.2%が何らかの障がいを抱えています(※)。そうした状況もあり、2023年現在において、従業員を43.5人以上雇用している事業主は、障がい者を1人以上雇い入れることが義務付けられています。しかし、合理的配慮がうまく機能しなかったり、長く働くにつれて採用時と状況が変化したりして、トラブルに発展することがよく見受けられます。本記事では、『職場問題グレーゾーンのトリセツ』の著者で社労士の村井真子氏が、障がい者と働いていくうえで起こるトラブルのうち、代表的な3つの事例とその対処法を紹介します。

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※内閣府「令和5年版 障害者白書(全体版)」の参考資料

障がい者雇用枠とその対象者とは

 障がい者雇用枠とは、社員を雇い入れるにあたり、障がい者を採用するためにあらかじめ設ける枠のことです。一般の雇用枠と同様に採用選考があり、障がい者・企業ともにメリットがあります。障がい者は実際に働くにあたって合理的配慮と呼ばれる障がい特性に応じた配慮を受けられ、企業は自社である程度職種を限定したり、自社に適性の合う障がい者を効果的に集めたりできるからです。

 障がい者雇用枠の対象となるのは、障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳、療育手帳のうち何らかの障がいに関する手帳を取得している障がい者です。なお、知的障がい者は、精神保健福祉センターなどの判定書の所持者も対象となります。

 もちろん、障がいを持っていても、こうした手帳の取得をせずに一般の雇用枠で就労している人も存在します。また、就労中に何らかの障がいを負い、一般雇用から障がい者雇用に移行する場合もあります。

障がい者に対する合理的配慮の例

 障がい者を雇用する場合、企業には障がい者に対する差別を禁止するとともに、合理的配慮をすることが義務付けられています。

 合理的配慮とは、障がいがあることで生じてしまう困難について、障がい者から助けを求められた場合に、企業は過度な負担にならない範囲でその困難を取り除くことです。すべての環境を障がい者に合わせることまでは要求されませんが、募集・採用の段階から就労中まで、可能な範囲で障がい者が働きやすい環境を整えていくことが求められます。代表的な例は次のとおりです。

採用における合理的配慮の例
  • 聴覚障がい者に対して、手話、筆談、コミュニケーションボードを使って説明や対話を行うこと
  • 視覚障がい者に対して、点字や音声などで採用試験を行うこと
  • 身体障がい者に対して、移動の少ない部屋やバリアフリーの建物で採用試験を行うこと
入社後の合理的配慮の例
  • 出退勤時刻・休暇・休憩に関して、通院や体調に配慮すること
  • イラストなどビジュアルを多用した分かりやすいマニュアルを用いて、業務内容を説明すること
  • 仕事の工程を細分化し、障がい者の習熟度に合わせて取り組ませること
  • 本人の障がい特性に応じた配慮を本人の意向をもとに実施していくこと
※印刷用ページ表示機能はメンバーのみが利用可能です(登録無料)。

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この記事の著者

村井 真子(ムライ マサコ)

社会保険労務士、キャリアコンサルタント。家業である総合士業事務所で経験を積み、2014 年、愛知県豊橋市にて独立開業。中小企業庁、労働局、年金事務所等での行政協力業務を経験。あいち産業振興機構外部専門家。地方中小企業の企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築、組織設計が強み。現在の関与先 ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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