プラスアルファ・コンサルティングは11月17日、同社が提供する「タレントパレット」の導入企業の中から、科学的人事を推進および活用し、意欲的・先進的な取り組みを行う企業を表彰する「第2回 科学的人事アワード 2023」を開催した。
会場のコンラッド東京にて、大賞が5社、特別賞が2社表彰された。受賞企業と理由は次のとおり。
大賞(5社)
- 株式会社ユナイテッドアローズ
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- 受賞理由
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- 従業員意識調査にてエンゲージメントスコアへの寄与度をもとにポートフォリオ分析を行い、人的資本投資の対象、割り当てを決定
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- 定量分析だけでなく、定性コメントの読解、テキストマイニング分析も行い課題抽出、重点施策の検討に活用
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- コロナ禍の影響でリスキリングに対する意識が高まり、「教育」のエンゲージメント寄与度が大幅にアップ
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- 現在は、手挙げによる各種研修開催、ビジネススクール企業派遣など、リスキリングの充実を図りつつ、人的資本経営時代に求められるマネジメント改革に注力している
- 東北電力株式会社
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- 受賞理由
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- 電力自由化や再生可能エネルギー導入拡大、脱炭素化など、事業環境が大きく変化する中、ビジネスモデルの転換が求められており、事業戦略と人材戦略の連動性を高めることが重要となってきた。この考えの下、中長期の事業ポートフォリオに基づく人材ポートフォリオを策定し、事業戦略の遂行に必要な人員数・スキルを可視化した
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- 全社共通のスキルセットを展開し、登録されたスキル情報を活用するため、約200の人材要件を設定。経営層・部門人事担当者へ展開しているダッシュボードでは、人材要件のマッチ度や目標値とのギャップなどを可視化し、データに基づく中長期視点での科学的な分析結果を共有した
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- 従業員のキャリア希望だけでなく、スキルや適性といったこれまで可視化されていなかったデータも活用しながら、従業員1人ひとりの適材適所の実現、育成計画の検討を行った
- ソフトバンク株式会社
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- 受賞理由
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- 人材成長・育成を最大限に実現するために「自ら手を挙げチャレンジできる機会の提供と文化の醸成」に重点を置き、社員の成長とともに組織の進化を図った
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- 新規事業創出を支援する「ソフトバンクイノベンチャー」、ソフトバンクグループの未来を担う事業家の発掘・育成のための「ソフトバンクアカデミア」など、社内外でのキャリア形成の仕組みを構築している
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- 役員陣のキャリアや経験業務などを社員に公開し、その情報から社員が自身のロールモデルとなるような役員層に面談を申し込む「キャリアプラン面談」を実施した後、自己申告書を書かせることで、社員のキャリアプランニングを後押ししている
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- ピープルアナリティクスによる配属意思決定のサポートやAIによる動画面接の判定支援を実施。採用業務では、面接・選考時間を約70%削減している
- 株式会社リコー
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- 受賞理由
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- OAメーカーからデジタルサービスの会社へと変革を進めている中、社員の潜在能力発揮を促すために、国内グループ3万人を超える社員1人ひとりの「自律的キャリア形成」を支援
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- 自己育成計画では、社員自らが自律的にキャリア設計をし、上司とのコミュニケーションで内容を深め、キャリア形成の実現を目指す
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- 教育研修では、タレントパレットを共通プラットフォームとして、グループ会社横断で研修コンテンツを展開し、デジタル人材の育成・拡充を図る
- リコージャパン株式会社
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- 受賞理由
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- リコーウェイの使命と目指す姿を、「“はたらく”に歓びを」に2023年に改定。OAメーカーからデジタルサービスの会社への変革を宣言
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- 独自で策定している「プロフェッショナル認定制度」をタレントパレットで運用し、社員の「スキルの見える化」と「自律的成長の支援」を推し進め、そのデータをマネジメント層が戦略的配置に活用している
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- グループ共通の教育プラットフォームに加え、リコージャパンデジタルアカデミーという教育の仕組みを構築し、「プロフェッショナル認定制度」の各レベルに必要とされるスキルの、自律的な学習を支援している
特別賞(2社)
- アフラック生命保険株式会社
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- 受賞理由
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- 目的に合わせた複数のツールを活用。より高度なタレントマネジメントを実現するため、タレントパレットを採用した。導入後約1年という短い期間で人事評価や自己申告、研修管理、1on1面談など、データ活用を見据えた多くの施策を急速に展開している
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- 約1400にも及ぶ全ポストのジョブディスクリプション(職務記述書)を公開。ジョブヒストリー(職務経歴)の登録社員も約1000名にのぼる。これらも活用した優秀人材の分析や候補者人材のサーチなど、さらなるデータ活用に向けた科学的人事プロジェクトを推進中
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- 科学的人事をスピード実現するために、土台となる組織・体制づくりを実現。ITスキルに長けた人材を配置し、人事組織の人材育成にコミットした
- 株式会社マルハン
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- 受賞理由
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- 「人財データの力で人と組織を活かし最高のパフォーマンスを上げる人財輩出ができる仕組みの構築をする」というテーマを掲げ、「経営人財の発掘と育成」「適所適材」「キャリア開発」を経営戦略の優先事項とした
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- 採用から育成まで、一気通貫のデータ管理・活用を実現し、ワンプラットフォームによる経費削減も大幅に成功。人材配置では、TPI適性検査の結果を最適配置の際に積極的に取り入れ活用。採用後の社内研修をタレントパレットで実施することで、全カンパニーを横断して社員の自律的な学習を支援した
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- 感謝の気持ちを「イズムの種まき(サンクスポイント)」にて贈りあう文化を定着化。月間10万以上のやり取りを通して、代表を含む社内のコミュニケーションが組織を超え大きく活性化した。従業員のやり取り、関係性を見える化し、分析結果から離職傾向にある店舗などを抽出し、エリア長・店長へのフィードバックを実施することで、離職率の低下に成功
続いて、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任教授 岩本隆氏が総評を行い、各社の受賞理由において次の5つのキーワードが見られると解説した。
- 事業ポートフォリオの変革
- 人材ポートフォリオ/スキルベースト組織
- パフォーマンスマネジメント/ジョブディスクリプション
- 手挙げ文化/プロフェッショナル
- キャリアウェルビーイング/キャリア自律
最後に岩本氏は、人的資本経営においてデータを活用した説明はこれから必須になっていくと述べ、科学的人事の重要性に言及し、アワードを締めくくった。
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