HRBPが目指すのは、事業本部長の人事課題を担う“右腕”
——まずは、竹田さんの現在の職務を教えてください。
現在は、マネーフォワードにおける取締役 グループ執行役員であり、企業のバックオフィス向けSaaS事業を展開するマネーフォワードビジネスカンパニーの責任者としてCOOも務めています。
マネーフォワードビジネスカンパニー(以下、ビジネスカンパニー)は、2019年に開始したバーチャルカンパニーです。バーチャルカンパニーとは、事業ドメインで組織を分け、それぞれを1つの会社として見立てたものです。決裁などの権限も委譲されており、事業部制に比べて機動性の高い活動ができます。バーチャルカンパニーの責任者であるCOOはCEOと同等であり、権限委譲のもと事業を牽引し成功させるミッションを担います。
現在、マネーフォワードには3つのバーチャルカンパニーがあります。ビジネスカンパニーはそのうち最大の組織で、当社の売上の6割を占めています。
ビジネスカンパニーの下には、個人事業主や中小企業向けの「SMB事業推進本部」など、複数の事業本部があります。各事業本部は別々の会社であってもおかしくない規模のものですが、分社化すると会計の連結が面倒だったり、すべてのバックオフィス機能が必要だったりと非効率なので、複数の事業本部を集めて擬似的な独立会社=バーチャルカンパニーとしています。
——すると、人事をはじめとするバックオフィスも各バーチャルカンパニーに備わっている?
いわゆるバックオフィス機能は全社(マネーフォワード本体)にある1つだけです。人事に関しても、人事制度の構築から整理、運用を担う人事企画機能をはじめ、人材育成機能、労務管理機能など仕組みをつくって継続していく各種人事機能は全社の人事部(People Forward本部)にあります。バーチャルカンパニー配下には、事業本部の事業戦略と人事戦略を接続して、人や組織に関する課題解決や事業成長に必要となるさまざまなテーマを担うHRBP(Human Resource Business Partner)がいる形です。
ビジネスカンパニーのHRBPは、事業本部長の人事課題を担う“右腕”となることを目指しています。基本的には1つの事業本部に1人ですが、1人のHRBPが複数の事業本部を掛け持ちしている場合もあります。事業本部の規模によります。ビジネスカンパニーのHRBPは10名程度です。現在、ビジネスカンパニーには1000人超の従業員がいるので、1%ほどがHRBPということになりますね。