採用ターゲットを考えるうえでよくある2つの誤解
中小企業の経営者や採用担当者からお話を聞くと、採用ターゲットを決めることに対して、よくある誤解が2つ出てきます。
1つ目に、ただでさえ人が集まらない会社がターゲットを決めるなんて、選り好みしているみたいで本当にするべきことなのか、という疑問です。
知名度がない・規模が小さいなど採用にハンデを負っている中小企業にとっても、採用ターゲットを明確にすることは、人を集める(母集団形成する)うえで重要です。それに採用ターゲットは、人集めのため“だけ”に決めるのではありません。
そもそも採用ターゲットを決めるというのは、自社にとって良い人材とは一体どんな人材なのかを考えることです。これが決まると、自ずと「その人材を採るためにベストな採用時期はいつか」「ベストな人材のイケス(その人材が多く集まっている場所。求人媒体なども含む)はどこか」などが決まっていきます。採用時期やイケスが決まれば、採用にかける社内のマンパワー(工数)も予算(費用)も決まってくるでしょう。つまり、採用ターゲットを決めることは、採用戦略を決めることとほぼ同義なのです。
ビジネスに戦略なくして成功はありません。行き当たりばったりや運頼みで採用ができるほど現在の採用市場は甘くありません。ですから、採用にハンデを負った企業でも(こそ)、ターゲットを決めるべきなのです。
2つ目のよくある誤解は、採用ターゲットを決めるというのは、ハローワークなどの求人票に載せる人材要件を洗い出すことではない、ということです。
求人票に載せる採用要件というのは、「●●の経験が3年以上」「××の資格を持っている方歓迎」など、スキル面で分かりやすい要素の羅列になっています。もちろんこれを考えることも必要ですが、これだけで採用ターゲットを明確にしたとは、残念ながらいえません。
詳しくは後で述べますが、「そのような人材はどんな就職活動・転職活動をしていて、市場のどこにいるのか」といった、より鮮明な人物像にまで想像を膨らませなければ、自分たちからアクションを起こして候補者を見つけにいくこと(ダイレクトリクルーティング。本連載第1回で紹介)はできないでしょう。この“より鮮明な人物像にまで想像を膨らませる”工程を「ペルソナ化」と呼びます。採用ターゲットを考えるというのは、こんな人材が欲しいという「採用基準」「採用要件」の先にある、そのような人材はどんな生活をしていてどこにいるといった「ペルソナ」まで考えるということです。
では、採用ターゲットの考え方を具体的に見ていきましょう。