シーベースは、360度評価や多面評価、マネジメントレビューなどと呼ばれる“360度フィードバック”の活用状況について調査を実施し、「データで分かる!360度フィードバック導入状況」として結果を発表した。
従業員規模別の導入率
360度フィードバックの導入率は、全体で61.4%。従業員が多いほど導入率は高まり、5000名以上の企業では68.0%が導入している。大企業ほど人材個々の状況が見えにくいため、360度フィードバックを組み込んで可視化しているようだ。一方で、300名未満企業でも、徐々に導入が広がりつつあることがうかがえる。
360度フィードバック活用目的
活用目的では、「人材開発」「組織開発」「人事評価・目標管理」が上位に挙がり、人事施策として意図する活用範囲の幅広さが見られる。また、「自社社員向け調査連動」や「タイバーシティ活用」といった、特定テーマ・施策への展開も進んできていると考えられる。
満足している点(人事)
人材開発・組織開発面では「気づきの機会」「ハラスメント抑制」「マネジメント層の能力開発」「組織の風通し効果」、人事制度運用面では「人事評価・目標管理活用」「昇降格での活用」が多く挙げられた。気づきやマネジメント改善から、組織風土改善や人事制度運用まで幅広く役立てられていることが分かった。また、ハラスメント抑制や上下コミュニケーションの改善における有用性の実感が広まってきている。
良いと感じる点(評価対象者)
上位には「社内の縦のコミュニケーションが良くなった」「信頼関係が向上した」「周囲からの評価・フィードバックが受けられる」 「変革への意識が高くなった」 が挙げられた。加えて、モチベーションやメンタルヘルスへの効果実感が増えてきている。
運用方法(評価対象者)
「個人別結果のフィードバックをされている」という運用が、最も多いが全体の3割未満。次いで「フォローアップ面談」が続いた。「研修実施」は個人別結果フィードバックの3分の1近くにとどまり、「結果を踏まえたアクションプランの策定がある」「アクションプラン継続へのフォロー、サポートがある」といったアクションプランにつながる運用の実施率は5%未満となった。
実施意義(評価対象者)
対象者全体の意義実感割合は43%となった。アクションプラン策定や継続フォロー、結果読み解きフォローや強み・改善点フィードバックがある場合は7割以上が意義を実感するが、何も支援がない場合は意義実感が2割未満になっている。
継続意向(従業員全体)
施策の継続意向を問うと、全体で35.8%が「意向あり」と回答した。また、アクションプラン継続フォローありの層では、75%以上が継続の意向を示す結果となった。加えて、アクションプラン策定、実施後の定期メール・アンケート、結果読み解きフォローなどがある場合の継続意向は6割を超えるが、何もないと継続意向は著しく低いことが分かる。
強みの再認識の効果(従業員全体)
「自分の強みを再認識できる」と回答したのは、全体で約3割となった。アクションプラン継続へのフォローがあると再認識割合は8割近くに上るが、何らかのフィードバックやフォローがない場合は1割強と非常に低いことが分かった。
改善点の気づきの効果(従業員全体)
全体では、約4割が「自分の改善点に気づける」と回答。アクションプラン継続のフォロー、アクションプラン策定があると自分の改善点への気づきの割合は85%を超えるが、何らかのフィードバックやフォローがないとその割合は著しく低いようだ。
なお、調査の概要は次のとおり。
調査概要
- 調査手法:インターネットリサーチ
- 都道府県:全国
- 実施期間:2024年6月28日~7月1日
スクリーニング調査対象者
- 全国、男女20歳以上
- 企業の社員・経営者(人事調査のみ請負社員も対象)
調査対象者・サンプル数
- 社員調査1000:360度評価(多面評価)を会社が導入、回答者または対象者
- 人事調査300:経営/人事業務関与&組織開発/人材開発/人事評価業務関与&サービス導入などに関与
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