給与アップ研究所は、年間1000万円以上の採用費をかけている中小企業(従業員数300名未満)の経営者を対象に「賃上げと業務改善に関する実態調査」を実施した。
68%が社員の大幅な賃上げにためらう
社員の大幅な賃上げを行うことに「ためらい・躊躇」を感じるか質問したところ、「非常に感じている」が25.6%、「やや感じている」が42.5%と、合わせて68.1%が賃上げにためらいを感じていることが分かった。
賃上げをためらう理由
前問で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した人に、その理由を聞いたところ、「業績が安定せず、固定費増加に踏み切れないから」が44.2%で最も多く、次いで「社員の生産性に不安があるから」が37.7%、「業務効率化が進まず、人件費の余裕がないから」が36.4%と続いた。
社員増加と業績向上の相関は「直結する」が7割
社員を増やすことが業績向上に直結すると思うか質問したところ、「非常にそう思う」が31.0%、「ややそう思う」が39.8%と、7割以上が「直結する」と回答した。
半数以上が、過去2年間で2人以上の優秀な社員が離職した
過去2年間で、優秀な社員(会社の期待水準を上回る社員)の離職はあったか質問したところ、「多くあった(5名以上)」が17.8%、「ややあった(2~4名程度)」が35.4%となった。
優秀な社員の離職理由は「給与水準への不満」
前問で「多くあった」「ややあった」と回答した人に、その理由は何だと思うか聞いたところ、「給与水準への不満」が40.0%で最多となり、次いで「成長機会の不足」が36.7%、「評価制度への不満」が35.0%と続いた。
直近2年間で基本給の昇給を「全社員対象に実施」は半数
直近2年間での基本給の昇給実施状況を聞くと、「全社員対象に実施した(定期昇給)」が52.2%、「一部社員対象に実施した(査定昇給)」が25.7%、「実施していない」が22.1%という結果になった。
基本給の定期昇給できない理由
前問で「一部社員対象に実施した」「実施していない」と回答した人に、昇給できない理由を聞いたところ、「社員の生産性が上がらないため」が27.8%で最も多く、次いで「業績が安定しないため」が24.1%、「業務効率化が進まないため」が24.1%と続いた。
2割の企業が、業務改善に「取り組めていない」
業務改善にどの程度取り組んでいるか質問したところ、「あまり取り組めていない」が15.9%、「全く取り組めていない」が7.1%と、合わせて23.0%が取り組めていないと回答した。
業務改善に取り組めない理由
前問で「あまり取り組めていない」「全く取り組めていない」と回答した人に、その理由を聞いたところ、「業務多忙で着手できないから」が26.9%で最多となり、次いで「改善のための時間が確保できないから」が19.2%、「効果が不透明で踏み切れないから」が19.2%と続いた。
業務改善の時間を確保できるなら「棚卸しから始めたい」
業務改善に取り組むための時間(1日15分程度)を確保できる場合、まず何から始めたいか質問したところ、「業務の棚卸し」が31.9%で最も多く、次いで「業務工数の管理」が29.2%、「業務プロセスの標準化」が28.3%と続いた。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:賃上げと業務改善に関する実態調査
- 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチデータマーケティング「リサピー」の企画によるインターネット調査
- 調査期間:2024年12月3〜6日
- 有効回答:年間1000万円以上の採用費をかけている中小企業(従業員数300名未満)の経営者113名
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