人的資本の価値向上を進めるうえで、従業員エンゲージメントの向上に注目が集まる一方、どのような手を打てばよいか悩んでいる企業も多くいます。そこで、本連載では、4つの業界(IT業界、小売業界、製造業界、金融業界)を取り上げ、各業界のエンゲージメント傾向をデータから分析するとともに、エンゲージメント向上の具体策を解説します。第4回となる本稿では、金融業界を取り上げます。
データで見る金融業界のエンゲージメント傾向
まず、金融業界のエンゲージメントの傾向を見るにあたって、分析方法と分析結果をお伝えします。
分析方法
当社の「エンゲージメントサーベイ」を導入している企業の中から、金融業界の企業を抽出し、エンゲージメントスコアを分析しました。分析対象は合計46社です。
当社のエンゲージメントサーベイでは、エンゲージメントを左右する要因を「会社」「上司」「職場」の3つの領域に分け、さらに16の要素に分類しています。そして16の要素に紐づく形で詳細項目があり、回答者は詳細項目ごとに「期待度」と「満足度」を5段階で回答します。その結果から、エンゲージメントの指標である「エンゲージメントスコア」(≒偏差値)を算出しています。
分析結果
- 金融業界は、他業界と比較してエンゲージメントの高い企業が多く、業界平均のエンゲージメントスコアは53.9と、全業界平均(50.0)を上回る結果となりました。
- 他業界と比較して、「会社基盤」「制度待遇」に対する満足度が高い傾向が見られました。
- 他業界と比較して、「仕事内容」「判断行動」に対する満足度が低い傾向にありました。
- 金融業界でエンゲージメントが高い企業と低い企業を比較すると、上位役職者のほうが大きな差が見られました。エンゲージメントの低い企業は、特に上位役職者のエンゲージメントが低く、階層が上がるにつれ、エンゲージメントが高い企業と低い企業の差が広がる傾向が見られました。
- 金融業界でエンゲージメントが高い企業の部長層は、「理念戦略」に対する満足度が高い傾向が見られました。
- 金融業界の若手(20代・30代)は、「人的資源(人材の魅力)」に対する満足度が高い傾向が見られました。
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花岡 健太(ハナオカ ケンタ)
株式会社リンクアンドモチベーション コンサルタント モチベーションエンジニアリング研究所 研究員。
東京大学農学部卒業後、大手損害保険会社を経て中途入社。従業員エンゲージメント向上サービス「モチベーションクラウド」やコンサルティングを通じて、100社超の組織変革を支援。現在は、研究員としてデータ分析・活用も担う。※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

