登壇者

青木 佑太(あおき ゆうた)氏
株式会社HRBrain 事業統括本部 Field Sales
株式会社HRBrainに入社後、カスタマーサクセスとしてシステムの活用推進に従事したのち、インサイドセールスを担当。その後既存顧客の開拓を進めるクロスセルチームの立ち上げに携わる。現在はフィールドセールスとして中小〜大手企業に向け、タレントマネジメントシステムなどの提案や導入支援業務に従事。HRBrainパルスサーベイの営業責任者も兼任。
「選ばれる企業」になるために——タレントマネジメントに取り組むべき理由
「タレントマネジメント」「人事評価」「ストレスチェック」「労務管理」などさまざまな機能を包括したワンプラットフォームである「HRBrain」。戦略検討から制度構築、分析までを支援する体制や、運用自体を外注できるBPaaSサービスなども有し、規模や業種を問わず約3000社に導入されている。

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近年、HRBrainはじめとしたHR Tech周辺は活況を帯びており、さまざまなプレーヤーがソリューションを提供している。この背景には、労働市場が変化しはじめ、これまで日本企業の大きな特徴であった「新卒一括採用」と「年功序列制度」の崩壊が進んだことがある。
こうした変化を解説するうえで、青木氏はいくつかの調査結果を挙げた。その1つが、内閣府の「高齢社会白書」だ。2022年に発表された同資料によると、2025年の生産年齢人口は2015年と比較して10%ほど減少。さらに2040年に2020年比で約20%、2050年には同30%ほどの減少が見込まれるという。
絶対的な労働人口の減少だけでなく、転職者が増えている点も見逃せない。総務省の「労働力調査」によれば、2023年の転職者数は328万人と、2年連続で増加。コロナ禍以前の成長基調に戻っており、過去最高だった2019年の353万人に近づきつつある。同調査から年齢層別に詳細に見ていくと、2022年における25〜34歳の転職希望者数は、2018年比で1.2倍に成長している。

「新規で労働力を確保するのが難しいことに加え、既存社員に働き続けてもらうのもハードルが高まっていることがよく分かるデータです。こうした時代では、企業が社員と対等な関係性を結び、選ばれる企業になるような施策を打てるかがポイントです」(青木氏)
そこで注目なのが、働く価値観の多様化だ。若手を中心に、企業選びの軸が多様化を見せている。
たとえば、2016年卒では入社の判断基準として「勤務地」が約8割で1位。以下は「職種」や「業種」などが上位に並んでいた。一方、5年後の2021年卒では「自らの成長が期待できる」が1位かつ、回答率は49.8%。1位であっても回答率が過半数に達しておらず、いかに個々人の判断軸が多様化しているかがうかがえる。

また、中途採用市場も変化を見せている。青木氏は近年のトレンドとして「越境転職」を挙げる。越境転職とは、これまでの経験とは異なる業種や職種への転職であり、リクルートエージェントの調査「転職決定者分析」によると、2020年に転職した人のうち、同業種・同職種だったのはわずか2割未満。同業種まで広げても3割ほどだった。
「経験年数の短い20代では、業種や職種にこだわらず新たな成長機会を求めることが多く、成長産業へ身を置くなど、異業種×異職種の越境転職をしていく傾向が強いです。また、50代以降になると培った経験を活かしつつ、社会貢献をしていきたいと考え、新たな業種や職種に挑戦していくケースがみられます」(青木氏)

こうした点を踏まえ、青木氏は次のようにまとめる。
「もはや『会社のために働く』『企業に属する』といった考えを持つ人は減りつつあります。重要なのは、いかにビジョンに共感してもらい、自分の成長を期待できる職場だと思ってもらえるかです。さらに、増えつつある越境転職者を受け入れるうえでは、社内のデータをしっかり蓄積して、どんな人であれば活躍できるかを分析し、オンボーディング体制を整える必要があるでしょう。こうした背景から、タレントマネジメントの重要性が高まっているのです」(青木氏)
では、タレントマネジメントを推進する際にはどんなポイントがあるのか。