前回は、HRモダナイゼーションに欠かせない世界標準の組織管理の考え方として、「ポジションとレポートラインによる組織管理の基本的な考え方」「経営戦略と連動した機動的な組織転換」「ビジネスプランと整合したヘッドカウント管理」について説明しました。今回は、このような世界標準の組織管理の仕組みを、どうすれば日本企業に取り入れられるかについて、日本企業の典型的な組織管理の仕組みや思考と合わせて説明します。
理想は分かるけど変われないよ……
日本企業向けの勉強会で筆者が世界標準の組織管理の話をすると、「経営として求めているのはこのような仕組みである。自社にもあったらよいと思う」と肯定的な感想をいただきます。しかし、たいていその後に、「だけど、うちでは難しいよ。なぜなら……」とできない理由の説明が続きます。
「うちはメンバーシップ型でやっているので、レポートラインやポジションの考え方は合わない。適正人数なんて話をしたら人を切ることだと思われてしまう」
「うちは事業軸と地域軸のマトリクス経営をしているし、出向や兼務がたくさんあるから組織構造が複雑で管理しきれない」
など、さまざまな話が出てくるのですが、これらは組織管理ができない理由にはなりません。メンバーシップ型やマトリクス経営は、組織管理の考え方と相反するものではないですし、これらの考え方そのものを変えるという選択肢もあります。
また、このような会社では、「各組織で業務はしっかり回っているが、組織長は余力を持ちたいので人が足りないと言い続ける」「指揮命令系統が不明確なことから、従業員が理不尽な扱いを受けることがあるけれども、その理不尽な状況でがんばり続けることが『仕事ができること』だと思っている」など、組織管理の課題を潜在的に抱えており、変革に取り組むべき状況であることが多いです。
次ページでは、JTC(Japanese Traditional Company:日本の伝統的な会社を指すネット用語)の組織管理における問題点について、典型的な例を挙げて説明します。
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籔本 レオ(ヤブモト レオ)
ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。
外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系ソフトウェア企業にて...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

