SmartHRは7月7日、同社が提供するクラウド人事労務ソフト「SmartHR」のARR(年間経常収益)が300億円に到達したと発表。また同日には、東京本社にて「事業戦略発表会」を開催した。
事業戦略発表会には、同社 代表取締役CEOの芹澤雅人氏が登壇。既存プロダクトの継続的な拡大に加え、「AIアシスタント」を筆頭とする従業員ポータル領域が新たな事業の柱へと成長し、2025年6月〜2026年5月における同社のフリーキャッシュフローは17.5%に達したと述べた。
特にAIアシスタントは提供開始から1年で導入企業数が900社を超え、累計の問い合わせ自動回答数は15万回に達したという。芹澤氏は、「生成AIを活用した新規事業開発として、1つの良い事例になったのではないか」と手応えを語った。
続いて芹澤氏は、今後のプロダクト戦略を説明した。まず、AIの活用方法として、「従業員向けAIエージェント」「バックオフィス向けAIエージェント」の2系統に分けて、それぞれで進化させていく方針だという。
従業員向けAIエージェントは、就業規則や社内規程を読み込ませることにより、従業員の疑問や質問に24時間AIが回答するなど、AIアシスタントの進化版のようなイメージだ。さらに文書や社内ルールにとどまらず、“働く”にまつわる情報やタスクを案内する機能となる。

一方のバックオフィス向けAIエージェントは、SmartHR上の各種設定や運用、一部の定常業務をAIが自律的に完遂させる機能である。バックオフィス担当者の“右腕”としてAIがシステムの操作を代行し、定常業務の自動化を目指す。

さらに芹澤氏は、労働人口の減少や人材流動化の加速といった社会背景に触れ、「企業が働き方や組織のあり方を変革していく必要があるいま、当社は人事データからも人材戦略・組織戦略の実行を支援していく」と強調した。
その具体的な新機能の1つが「他社比較データ」機能だ。これは、SmartHRに登録され、かつデータ活用に許諾された企業の組織データを、LLMをはじめとしたAIを用いて個人・個社が特定されない形で統計化し、組織を横断した比較を可能にする機能だ。手間やコストをかけずに、業種・規模ごとの平均年収、年齢構成、部署別比率などの業界水準と自社の立ち位置を把握でき、人事や経営におけるデータドリブンな意思決定を支援するという。
もう1つの新機能が「AI HRBP」機能だ。AIがSmartHRに登録された人事データをもとに、スキルや経験、素質といった複雑なニュアンスや条件に合致する人材を横断的に探索する。育成や評価など、従業員や組織に関するあらゆる相談に答えられるエージェントとして、管理職のマネジメント業務を支援するという。
最後に芹澤氏は、「これらの機能は人事の仕事を奪うものではない。AIの価値は『答えを出すこと』ではなく、『試行錯誤のスピードを速めること』にあると考えている。これらのAI機能を通じて、人事が質の高い試行錯誤を高速で回せるような環境を提供し、ゆくゆくはその先にいる現場マネージャーにも使っていただきたい」と締めくくった。
なお同社では、人事データの活用において、システム導入だけでなく、人事データ活用のプロセス全体をサポートするサービスの提供も検討・準備しているという。
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