「誰かが休んでも回る職場」はどうつくる? タカミヤの“組織全体で支え合う”制度と風土づくり
男性育休取得率は66.7% 悩みを共有する場を設けて“つながり”を創出
——それでは次に、育児と仕事の両立を支える制度や、利用を促す工夫を教えてください。
育児休暇(以下、育休)から復職する際には、フルタイムで働きたい人も、短時間勤務を希望する人もいます。そのため、勤務時間は1日4時間から柔軟に調整できるようにしています。育児の短時間勤務は、法定の対象期間を超え、お子さんが小学校3年生になるまで利用できます。
男性の育休取得も増えており、2025年度の取得率は66.7%、今期は現時点で84.6%と年々高まっています。担当者が対象者に情報を提供したり、男性育休のパンフレットを作成して発信しています。
加えて、Web社内報では男性の育休取得者を取り上げています。取得日数だけでなく、実際に取得してどうだったか、良かったことや大変だったことも紹介しています。そうした経験を知ることで、「みんな取っているんだな」「取っていいなら自分も取ろうかな」と思ってもらえるのではないでしょうか。こうした発信も、リフレッシュ休暇と同じように、育休を取りやすい雰囲気づくりにつながっていると感じています。
——同じ立場の社員同士がつながる場も設けているそうですね。
育児や介護をしている社員への情報提供を目的に、「HRサロン」を実施しています。産休・育休中は会社の情報が入りづらくなりますし、社内に同じ悩みを抱える人がいても、つながっていなければ情報交換ができません。そうした課題を受けて始めました。
Web配信などで会社の方針や復職時の手続き、利用できる支援制度を伝えるほか、復職者向けのランチ会で「こういうところが大変だよね」と話す機会も設けています。会社から必要な情報を届けるとともに、社員同士が情報交換する場にもなっています。
——介護との両立については、どのような支援がありますか。
対象となる家族が1人の場合、年間5日の介護休暇を有給で取得できます。現在、年間最大10日まで拡充する案も検討しています。
また、今後の施策として「ライフサポート休暇」を企画しています。失効する有給休暇を年5日まで積み立て、継続的な通院や育児・介護、お子さんの入園式・入学式などに利用できるようにする構想です。さまざまなニーズに応えられるよう、支援の範囲を広げていきたいと考えています。

「コイン制度」で社内の支え合いを促進 他部署に頼りやすい環境に
——休暇を取りやすくするには、日頃から業務負荷の偏りを減らし、社員同士が支え合える体制づくりも重要です。部署を越えて業務を支援する「コイン制度」について教えてください。
忙しいときや特定のスキルが必要なときに、社内の別の人へ仕事を依頼し、その支援に対して社内通貨のコインをやり取りする制度です。2022年度のテスト運用を経て、2023年夏以降に本格的に始めました。
イントラネットの掲示板に「こういう仕事を、この時間単価で発注します」と掲載し、それを見た社員が「今なら受けられる」「そのスキルがあるからできる」と手を挙げ、マッチングするのが基本です。
——2025年上期までにコインの累計流通量は24万枚を超えたそうですね。導入前と比べ、どのような変化がありますか。
もともと、事務系の職種でも拠点や部署によって繁閑差がありました。以前は基本的に自分たちの事務所で解決し、他部署に頼む場合も、人と人とのつながりを頼りに「すみません、お願いします」と依頼するしかありませんでした。コイン制度によって、仕事を頼みやすくなったことは大きなメリットです。
ただ、目的は目の前の繁閑差をならすことだけではありません。他部署の仕事を経験してスキルを身につければ、その部署が忙しいときにサポートできます。同じ部署の中だけでなく、組織全体で補完し合えるようにする。それが制度を始めた背景です。
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- この記事の著者
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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