「誰かが休んでも回る職場」はどうつくる? タカミヤの“組織全体で支え合う”制度と風土づくり
コイン制度から拡大した「社内求人制度」 他拠点から人材確保が可能に
——2025年からは「社内求人制度」も始めています。コイン制度とはどのように異なるのでしょうか。
コイン制度の一環ですが、作業単位の依頼よりも、仕事の規模や期間が大きくなったイメージです。ある地域で大きな案件があり、半年や1年といった期間で人が必要な場合などに、社内で求人を出します。たとえば、北海道新幹線に関わる大型案件では、人員を確保するために社内求人制度を活用し、他拠点から社員を受け入れています。
従来、人が足りない場合は、採用するか、異動させるかという選択肢でした。ただ、採用にはコストがかかり、異動も条件に合う人がいるとは限りません。また、異動する本人にも「元の部署へ戻れる確証はない」という印象を持たれやすい面があります。
社内求人では、期間や条件について本人と会社の意向をすり合わせます。求人によっては給与が上がるものもあり、本人にとってのメリットをより明確にできます。求人の立ち上げには人事も関わっており、当初は関心のある部署への綿密なヒアリングから始めました。現在は求人も増え、他部署の事例も紹介しながら進めています。
サポートや異動の選択肢が広がり、能動的なキャリア形成の雰囲気が生まれた
——他部署での経験は、社員や職場にどのような変化をもたらしていますか。
同じ部署にいると、仕事の進め方や知識が固定化しがちです。他部署で働くことで、「悩んでいた仕事も、こう進めればよいんだ」と気づくことがあります。受け入れる側にとっても、違うやり方を知る刺激になっていると思います。
以前、若手社員との面談では、今の仕事が合わないと感じていても、「どんな仕事に興味があるか」と聞くと、答えが出てこないことがありました。コイン制度や社内求人制度を始めてからは、他部署の仕事に目を向ける人が増えたと感じています。「自分のスキルなら、他部署のこの仕事を手伝えるのではないか」「興味のある部署と、まずはコイン制度で関わってみたい」という声もあります。能動的なキャリア形成にも、良い影響が出ていると思います。
——今後、これらの制度をどのように発展させていきたいですか。
社内求人とは別の企画ですが、プロジェクトに参加する本人だけでなく、その人の仕事を分担する元の部署のメンバーにもコインを還元する「プロジェクトコイン」を検討しています。送り出す側にも負担がありますから、そこをケアするという考え方です。将来的には、コイン制度を人事制度の中枢に据えたいという話もしています。たとえば、昇給・昇格の際に実績を参考にしたり、コイン制度をベースにスキルマップを整備したりすることが考えられます。
制度を一過性のものにせず、会社の将来につなげたい。そのためには、社員の自走力を大切にする軸はぶらさず、時代に合わせて変えるべきところは柔軟に変えていく。社員の意見も取り入れながら、働きやすく、自己実現できる会社にしていきたいですね。
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山田 優子(ヤマダ ユウコ)
神奈川出身。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、大阪に拠点を移しさまざまな業界・職種を経験してきたが、プロジェクトベースの働き方に魅力を感じて2018年にフリーライターに転向。現在はビジネス系取材記事制作を軸に活動しながら、チームで商品企画・開発にも挑戦中。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
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