転職エージェントを通じて採用したのに、入社後に思うようなパフォーマンスを発揮してくれない――多くのこうした情報の格差を解消することのできない採用企業が経験する共通の悩みではないだろうか。このようなミスマッチを解消するため、転職エージェントを利用する際に採用企業はどんなことに注意をすればよいのか。候補者とエージェントとのマッチングサービス「DIGROWエージェント」を運営するSupership株式会社の藤井康介氏(ビジネスイネーブルメント事業部コンシューマサービス企画部推進G グループリーダー)に話を聞いた。
候補者の本音をはずさず読み取るために
――転職エージェントなど、人材と企業のマッチングのプロが間に入っているにもかかわらず、採用してみたら思うような人材ではなかったというミスマッチが生じることがあります。なぜでしょうか。
採用後にミスマッチが生じる背景には、候補者と採用企業の間における「情報の非対称性」や「情報の格差」があります。その格差を埋める機能としてエージェントがいるのが理想ですが、現実には、一部のエージェントは単純なスキルマッチングだけで候補者を紹介しているのではないでしょうか。採用企業の業務やカルチャーなどをしっかり候補者に伝え、こうした情報の格差を解消することのできない採用企業やエージェントがいることが、ミスマッチの起こる1つの原因だと思います。
また候補者は、いくつかのエージェントを同時並行的に利用し、求人に応募して選考に入るというプロセスを経ます。さまざまな場面で色々な意思決定をしますし、多様な情報をキャッチアップします。その過程で、候補者の気持ちや考えも少なからず変化していきます。採用企業が、こうした候補者の気持ちや考えの変化を捉えずに選考を進めたら、ミスマッチが起こるのは必然です。
2016年10月よりSupership入社。コンシューマサービス企画部所属。海外事業立ち上げ後、現在は人材紹介会社向けスカウトサービス「DIGROWエージェント」のプロデューサーを担当。
――すると、候補者がエージェントとどういうコミュニケーションをしてきたのかということを、採用企業も感じたほうがいいのでしょうか。
はい。例えば、エンジニアになりたいという候補者がいる場合、エージェントはその人と面談をしてその要望を咀嚼し、スキルや経験に基づいて落としどころを決めるサポートをします。このプロセスを踏む間にも、候補者の要望が当初のものから変化することがあります。また、早く転職したい候補者と早く転職を成立させたいエージェント双方の思いが重なり、面接に向けて“仕上がった”状態、つまり採用されやすい考えに、要望がすり替わったりもします。
ですので採用企業は、候補者が希望していることや叶えたいことが変化していることを前提として、「では、どういう情報を埋めると入社後のミスマッチがなくなるか」というところまで考慮する必要があるのです。
――採用企業は、候補者の情報の上っ面だけを見るのではなく、もう少し踏み込んで聞いてみる必要があるということでしょうか。
そうですね。候補者は入社後にどう活躍するのかというのが大事なので、採用企業はその辺りをきちんと意識する必要があると思います。エージェントは候補者に対して「1次面接で収入のことは聞くな」「給料のことは話すな」といった指導をすることがあるのですが、それはあくまでも内定を取るための戦略。採用企業としては収入のことを聞かれても問題はないはずですし、そうした情報の非対称性が原因でミスマッチが生まれるのであれば、むしろ積極的に候補者と情報を共有するべきだと思います。
そういうことを意識し、候補者にどんな情報をインプットしていくのかを考える必要があるのです。
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市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向け...
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八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)
都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとしての一面も。
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