エンジニアの採用がますます難しくなっている。待ちの姿勢で良い人材はまず獲得できない。これからは、エンジニアに向けて自社の魅力をアピールし、関心・興味を高めてもらい、ベストタイミングで声をかけ、就職・転職する先として選ばれるための活動――「採用マーケティング」に取り組む必要があるだろう。しかし、自社への興味・関心や就職・転職の兆しなどはどうしたら分かるのか。実は、製品やサービスを売るためのマーケティングツールで分かるのである。本稿では、MA(Marketing Automation)ツール「Marketo」を提供するマルケトで、まさに採用マーケティングを行っている千葉修司氏に、その取り組みや実践のポイントをうかがった(全2回:2018年12月18日取材)。
お客様の相談から始まったマルケト自身の採用マーケティング
――マーケティングツールの会社であるマルケトが、なぜ人事領域の「採用マーケティング」に取り組むことにしたのでしょうか。
大きく2つあります。一つは、マーケティングや営業の施策が採用にも使えないか、という相談をお客様からいただいたことです。相談をいただいたのは2~3年前でしたが、具体化するまでに時間がかかりました。もう一つは私が2018年5月から弊社の人事を担当することになり、これまでテクノロジー企業で学んできた経験を採用に活かそうと考えたからです。
――2つ目の理由について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか。
マルケトの社員数は今でこそ約90人の規模ですが、2年前は30人程度でした。年間30人ペースで採用していくにつれ、徐々に社員からのリファラル採用が減り、エージェント経由の紹介案件が増えてきました。そうなると、採用に至った場合に支払う紹介料も高止まりしますし、100人に応募してもらっても実際に採用に至るのは数人だったり、一人ひとりのステータスが全く分からなかったりと、「質」「量」「可視化」という3つの点で問題に直面したのです。エージェントからの紹介だけを頼みの綱に毎年採用を増やしていこうとすると、早晩壁にぶつかる。待ちの姿勢ではダメで、採用力を自社が持つ必要性を感じたことが、取り組みのきっかけになりました。
2003年、早稲田大学政治経済学部卒。大日本印刷で人事総務を担当後、マーサージャパン、アクセンチュアにて、組織・人材マネジメント分野、特に営業支援のコンサルティングに従事。その後、セールスフォース・ドットコム、そして現職のマルケトにて、営業部門の生産性向上をミッションとして、組織人材開発施策企画・運営(Sales Enablement)を担当。2018年5月に新設された人事領域全般を担当するタレントエンゲージメント部を担当し、採用マーケティングや人事制度設計を推進。
――100人中数人しか採用できないとすると、30人を採用するには、母集団を100人から何倍にも増やすか、母集団の質を高めるしかありませんよね。
私たちは母集団の100人を増やすのではなく、エージェント、リファラル、ダイレクトなどのソースから質の高い100人を作りたいと思いました。実は、母集団を作ってから絞り込んでいく採用のプロセスは、マーケティングのプロセスと共通する部分がとても多いのです。
一般的なマーケティングプロセスが「認知」「興味」「検討」「購入」「リサイクル」と進むのに対し、採用の場合も「認知」「興味」「検討」「オファー・入社」「リサイクル」と進む。何かを買ってもらう、会社に入ってもらうという違いはあれど、非常に似ています。マルケトが提供しているのは、まさにこのプロセスを支援するテクノロジーです。ですので、採用へのマーケティング手法の適用も、最初に私たちがやってみようと思ったのです。
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市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)
1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向け...
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冨永 裕子(トミナガ ユウコ)
IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。ビ...
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