お客様の相談から始まったマルケト自身の採用マーケティング
――マーケティングツールの会社であるマルケトが、なぜ人事領域の「採用マーケティング」に取り組むことにしたのでしょうか。
大きく2つあります。一つは、マーケティングや営業の施策が採用にも使えないか、という相談をお客様からいただいたことです。相談をいただいたのは2~3年前でしたが、具体化するまでに時間がかかりました。もう一つは私が2018年5月から弊社の人事を担当することになり、これまでテクノロジー企業で学んできた経験を採用に活かそうと考えたからです。
――2つ目の理由について、もう少し詳しく聞かせてもらえますか。
マルケトの社員数は今でこそ約90人の規模ですが、2年前は30人程度でした。年間30人ペースで採用していくにつれ、徐々に社員からのリファラル採用が減り、エージェント経由の紹介案件が増えてきました。そうなると、採用に至った場合に支払う紹介料も高止まりしますし、100人に応募してもらっても実際に採用に至るのは数人だったり、一人ひとりのステータスが全く分からなかったりと、「質」「量」「可視化」という3つの点で問題に直面したのです。エージェントからの紹介だけを頼みの綱に毎年採用を増やしていこうとすると、早晩壁にぶつかる。待ちの姿勢ではダメで、採用力を自社が持つ必要性を感じたことが、取り組みのきっかけになりました。
――100人中数人しか採用できないとすると、30人を採用するには、母集団を100人から何倍にも増やすか、母集団の質を高めるしかありませんよね。
私たちは母集団の100人を増やすのではなく、エージェント、リファラル、ダイレクトなどのソースから質の高い100人を作りたいと思いました。実は、母集団を作ってから絞り込んでいく採用のプロセスは、マーケティングのプロセスと共通する部分がとても多いのです。
一般的なマーケティングプロセスが「認知」「興味」「検討」「購入」「リサイクル」と進むのに対し、採用の場合も「認知」「興味」「検討」「オファー・入社」「リサイクル」と進む。何かを買ってもらう、会社に入ってもらうという違いはあれど、非常に似ています。マルケトが提供しているのは、まさにこのプロセスを支援するテクノロジーです。ですので、採用へのマーケティング手法の適用も、最初に私たちがやってみようと思ったのです。