同レポートでは、日本国内で非正規社員として働くことに対し、依然としてネガティブなイメージが存在しており、派遣契約による低賃金の事務職、ホスピタリティ産業やコールセンターのスタッフは、享受可能な権利も限られ、立場を軽んじられることも少なくないと報告。
一方で、トップクラスのハイスキル人材がキャリアパスとして非正規での就業を選び、正社員では充足できないスキル不足に対応する傾向が強まっており、この傾向はとりわけIT分野で鮮明だとしている。
またIT分野では、非正規社員で充足しなければならないポジションが多岐にわたり、企業は充足した非正規社員の雇用維持に務めているという。同時に、正社員の採用では必要なスキルを持つ人材の確保が困難であることに気づき始めている。ただし、こうした日本企業における人材不足の原因の1つは部署間の人事異動にあるとも指摘している。
さらに、国内のIT人材不足を受け、日本企業は海外からの人材獲得をさらに積極的に検討。とりわけ海外在住経験を持つ日本人は、国際的な経験を持つとともに、日本の文化や言語に対する造詣が深く、バランスが取れた人材であることから、企業も採用獲得に積極的な姿勢を見せている。
なお、同社のリージョナルディレクターであるマイケル・クレイヴェン氏は、「日本の企業文化には官僚的で煩雑な性向があり、緊急プロジェクトに必要なハイスキルIT非正規社員の確保に著しい障害となっています。採用担当者は、面接時の経歴評価にあたり非正規社員にも正社員同様に長い時間をかけることがあります」と指摘。
さらに、「ITを取り巻く環境は常に進化を遂げています。意思決定の前に新しい技術が出現する可能性もあり、非正規職に求める技術を改めて見直す必要が生じることもあるのです。このため企業側は非正規社員の採用プロセスを迅速化する必要があります。非正規採用の本質は即戦力であり、特にIT分野では、変化に対応しなければ企業は競争に遅れるリスクにさらされます」と語っている。