同調査は、リンクアンドモチベーションが提供する新入社員研修の受講者に対して調査したもの。新入社員の組織への帰属要因を入社時に調査することにより、望ましい採用のあり方を探ることを目的としている。
調査では、リンクアンドモチベーション独自の「組織への帰属要因となる4因子」をもとに設定した16領域・全64項目について、「どのくらい求めているか(期待度)」「どのくらい満足しているか(満足度)」を5段階で尋ねた。その回答結果は、「期待度」「満足度」の各項目のスコアおよび期待度×満足度の2軸で整理された「4eyes Windows」で分析されている。
4eyes Windowのプロットは「期待度」の高い項目ほど「満足度」が低い右肩下がりの状態で、「ICE BLOCK」(期待度:高 満足度:低)には「経済報酬」「制度環境」「施設環境」「人材・共感性」が挙がった。ここからは、採用において適切な期待形成ができていないと考えられるという。
また、項目別の期待度を見ると、「休暇や休日の取得状況」「家賃など補助手当」など、「待遇の良さ」に関する項目が上位を占めた。また、「風通しの良さ」「快適な職場環境」が上位であるのに対し、「実力主義の評価制度」が低位に入った。こうしたことから、今年の新入社員は、総じて「居心地の良い環境で、無理なく働きたい」という「個人志向」が強いと同社は分析。一方で、「企業理念」など、組織に関わる項目の期待度が低いことから、今年の新入社員は「組織志向」が弱いとした。
加えて、既存社員に対する同様の調査(従業員エンゲージメント調査)を過去5年分抽出したところ、既存社員の組織志向も低下していることが判明。組織志向の形成にあたっては、新入社員に対する既存社員からの働きかけは期待できないという。
こうした中、不透明な経済の中で待遇や働きやすさが失われた場合でも、新入社員の間で、組織に所属する意識が薄れたり、エンゲージメントの低下や離職を招いたりしないためには、「採用の段階で自組織に所属する『共通の目的』を新入社員とすり合わせていくこと」が必要だと同社は述べている。