3度目のリファラル採用ブームがなぜ起きたのか
――なぜ今、リファラル採用が盛り上がっているのでしょうか。
リファラル採用のブームは今回が初めてではなく、8年前から3年おきに起こっていて、今は3度目の波が来ていると捉えています。
8年前にブームになった背景には、米国での成功があります。リファラル採用で入社した人の割合が、日本だと15%くらいなのに対し、米国では約28%と非常に多いんですね。「米国でこれだけうまくいっているのに、日本でやっていないのはおかしいだろう」と盛り上がったわけです。しかし、当時はFacebookなどのSNSを当たり前に使う人がまだまだ少なく、リファラルするための人脈をなかなか見つけられませんでした。
その後、5年前くらいにWantedlyさんのようなソーシャルリクルーティングが流行りましたよね。ソーシャルリクルーティングとリファラルリクルーティングの違いは、“1対N”か“1対1”かだけで、「自分の会社を友達に薦めたい」という本質的なモチベーションは同じです。
そして2〜3年前から再び盛り上がっているのは、SNSが浸透したことと、HR Techが普及したことが大きく寄与していると思います。
――日本でリファラル採用が受け入れられるようになった理由は、テクノロジーの進化だけでしょうか。
それはやはり、採用市場の需給バランスが崩れていることが大きいでしょう。今は、労働人口が減っている一方で、企業からの求人は増えています。これまでと同じやり方だけでは、思うように人が採れない。「新たな一手としてリファラル採用にトライしよう」という機運と、社員のソーシャルグラフを活用できる環境が整ったタイミングが、うまく合致した結果だと思っています。
――中でもITエンジニアの採用において先行的に進んでいるイメージがありますが、考えられる理由は何かありますか。
そもそもエンジニアを積極的に採用しているようなスタートアップ企業では、新しい取り組みに柔軟にトライしていく風土があるため、リファラル採用を実施する割合が高いのだと思います。加えて、エンジニアは様々な企業から引く手あまたなので、エージェントや求人媒体に頼って受け身で待っているだけでは、優秀な人を採るのが難しくなっています。特にエンジニアは友人や前職の同僚とのつながりが強く、エージェントへの登録や求人情報の検索など、いわゆる転職活動を始める前に、リファラルで次の職場が決まることが多々あります。
――スキルマッチやカルチャーマッチにおいてもリファラル採用に優位性はありますか。
そうですね。エンジニアのスキルを見極めるのは、非エンジニアにとっては非常に難しいため、その点でも優位性はあります。自社のエンジニアからの紹介であれば、ある程度スキルが担保された状態でコネクトできますし、カルチャーマッチにおいても、同じ意味でリファラル採用が十分に機能するところだと思います。