同調査では、日本企業のチームにおける多様性経験の実態を明らかにしつつ、多様性のあるチームをうまくマネジメントし、成果や創造性につなげるためにはどうすればいいかについて分析・考察している。結果として、以下のような点が明らかになったという。
“多様性”に対して多くが想起するのは「年齢層の幅が広い」「保有知識やスキルのレベルにバラつきが大きい」こと。「外国籍の人が多い」ことを想起する人はかなり少ない。また、チームが目的が達成されたら解散する期間限定のものである場合、「国籍」「勤務地」「専門性」「知識・スキルレベル」「職務経歴」「価値観」が、チームが期間限定ではない場合に比べて多様である。
多様性が高いチームでは、職務を問わず業務、人間関係が「共に良好」という回答が最多(45.0%)。ただし、チームの存続期間が3年以上では「共に問題」が、半年以内に「業務に問題、人間関係は良好」が多く見られた。また、「共に良好」の回答には、属性や立場の違いにかかわらず安心して発言できるといった、いわゆる心理的安全性やサポートし合える職場であるというような記述が散見された。さらに、「共に良好」「共に問題」を比較すると、「共に良好」は「性別」「専門性」が多様である割合が高い一方、「共に問題」では「勤務地」「知識・スキルレベル」が多様である割合が高いことが明らかになっている。
多様性の高いチームの8割以上が助け合いながら仕事を進めている。一方で、お互いの成長やバックグラウンド・価値観について関心があったり期待を伝え合ったりしているのは6割にとどまった。職務経歴や価値観の多様さがある中でも、相互理解を深めようとする状況ばかりではないようだ。さらに、約7割が「チームのメンバーには心身に疲れが見られる」という結果も出ている。
チーム運営で障害となる多様性の特徴は「知識・スキルレベル」(33.0%)が最多。それに「価値観」(28.2%)と「年齢層」(21.7%)が続く。技術職では「知識・スキルレベル」と「勤務地」が他の職務に比べても多く挙がっている。
メンバーが多様であることで困った経験や不安についての自由記述では、合意形成・意思疎通に関する記述が最も多く見られた。また、いわゆるチームワークの側面であるサポート・協働に関する記述も多く見られ、お互いにサポートし合う気持ちや立場が違う相手への配慮の不足、多様さゆえのサポート要請の難しさなどが挙げられていたという。
一方、多様でよかったとき、もっと多様だといいと思うときに関する自由記述には、「異なる意見によってチームの成果があがる」「個人としても刺激がある」「楽しい」といった回答が寄せられた。
この調査結果の詳細は、リクルートマネジメントソリューションズのWebサイトで参照できる。