リモートでも「意外にできる」例はどんどん見つかる
――今回のコロナ禍によるリモートワークの広がりは、経営者と働く人双方に大きな意識の変化をもたらしたのではと思います。経営者として福田さんはどうご覧になっていますか。
もっとも強く感じたのは、ふだんからのその企業の取り組み=緊急時の備えの有無がはっきりと表れたということです。米国ではリモートワークが比較的定着しているので、いざロックダウンとなっても大きな混乱はなかったと聞いています。
しかし、日本では、スムーズに移行できた企業と、大混乱に陥ったところがはっきりと分かれました。これまで在宅で仕事をする準備をまったくしていなかった会社では、極端な例ですが、職場のデスクトップPCを自宅に持ち帰ったという話も聞いています。そうした意味で今回は、企業がBCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)といった視点も含めて、自社の備えや組織のあり方を見直す極めて重要な機会になったと捉えています。
――前例のない災厄でしたが、大きな意識変革のチャンスでもあるという視点を忘れずに臨みたいですね。福田さんはグローバル企業でリモートワークの経験も豊富ですが、今回、新たに得られた気づきなどはありましたか。
自分では慣れているつもりでも、実際にやってみて初めて気づいたことが非常に多くありました。たとえば、採用面接です。基本的には対面で行うべきだと考えていましたが、緊急事態宣言後にオンラインミーティングシステムを使ってWeb面接をしてみたら、まったく違和感がない。そこで、会社主催のセミナーをウェビナーに切り替えていきました。他にも、会社訪問や取材対応など「やってみると意外にリモートでできる」例はどんどん見つかっています。その結果「ここまでできるんだ」という境界線がぐっと上がりました。これは当社だけでなく、他の多くの企業に言えると思います。