メンバーの状態が上向くとマネジャーのコンディションも良くなる
――今後、INSIDESをどのように展開していくのか。具体的な活用方法も含めて教えていただけますか。
引き続き、ビジネスの現場の人たちが日々戦っていく指針を得るお手伝いをしていきたいと考えています。マネジャーがメンバーの状態や心理を正確に把握して、課題に対応する際に的確なアドバイスを提供することは、これからも変わらない、INSIDESのテーマです。そのために多様なデータの集合体をどう生かしていくかは、まだまだ発展途上であり大きな課題だと思っています。
また、これからトライしたい課題としては、もっともっとマネジャーの学びを深めたいですね。具体的には、たとえばマネジャーがメンバーの状況を分析して、今のこの人の状態は、以前の誰かの状態に似ているのではないかとか、他の部署で似たような事例があったとか。マネジャーが過去の経験に学んで、この先の対応の引き出しを増やしていく仕組み作りです。
そうした経験値の蓄積こそが「学習」であり、ピープルマネジメントにおける熟達とは、そういった学習を通じて、マネジャー自身の引き出しやパターンを増やしていくことだと考えています。技術的には、さまざまな情報を機械学習などを応用して掛け合わせ、定量的に指標を出せるようにするなど、今後の研究によって、もっと深くきめ細かく作り込んでいけると考えています。
――現場の一人ひとりのケアをより充実させていけば、組織のパフォーマンスをさらに上げていくことが可能になるわけですね。
興味深いことに、メンバーの状態が改善していくにつれて、部長や課長といったマネジャー職のコンディションも良くなっていく例が非常に多いのです。INSIDESを活用してマネジャーとメンバー、またメンバー同士の関係が良くなってくると、マネジャーも楽になるし、部署や組織全体がとても良い状態になってくるものだなと実感しています。
最近はマネジャーの仕事を「感情労働」と表現する人もいますが、メンタル状態が良くない部下に深く関わっていくのは、マネジャーにとって非常に大変な仕事です。そういう心理的な負荷を下げる意味でも、INSIDESはマネジャーを助け、マネジャーを変え、マネジャーのコミュニケーションを高め、最終的に企業の生産性を高めていけるツールだといえます。
――そうした特性が、メンバーの心のケアをビジネスのパフォーマンス向上に結び付け、働く人も組織も良い方向に向かわせるのですね。本日はどうもありがとうございました。