続々と可能になる電子申請にe-GovとのAPI連携で簡便に対応
それでは具体的にどのような制度があり、どのように解決を図ればよいのか。すでに2020年4月以降は電子申請の義務化制度が開始されており、売上高1億円を超える企業は、健康保険・厚生年金保険関連、労働保険、雇用保険などの主要な手続きについて、全て電子申請にしなければならない。
そして、電子申請はどのくらい普及しているのか。法人税の申告では80%。一方、社会労働保険の手続きでは15.3%にとどまる。なぜこれだけ乖離があるのか。池邉氏は「大きな理由は、難しさや手間がかかるため」と分析する。電子申請をする場合、電子政府の総合窓口である「e-Gov」か、それに関連したベンダーを使用する。e-Govの利用者へのアンケートでは事前準備について75%が、操作性について65.6%が「難しい」と回答しているように、手間やコストがかかり、アナログに逆戻りしてしまう傾向があるというわけだ。
池邉氏は「e-Gov直接はもちろん日本年金機構のサイトを経由しても、ともすれば紙よりもコストがかかるリスクがある。そこで、社会保険などの電子化をしたいと考えるなら、e-GovとのAPI連携に対応している民間のアプリケーションで扱いやすいものを活用することがお勧めする」と主張。ただし、「社会保険労働保険の電子申請を行うgBizIDがあるが、こちらは11種類と極端に少なく、2020年の電子申請義務化が定められた帳票は15種類であるのに網羅していないので注意してほしい」と語った。
そして、もう一つの大きな変化といえば、労働条件通知書が電子化解禁にされていることだ。これまで紙しか認められていなかったものが、2019年4月からは電子交付が許可された。入社手続きに必要な個人情報、扶養控除申告書、企業によればオリジナルの誓約書やSNS規約書なども、電子化書類での申請が可能になっている。
「オフィスステーション労務」で社内データの収集から申請がワンストップに
オフィスステーションシリーズの一つである「オフィスステーション労務」では、こうした「社保・老舗の手続き」のほか、従業員から直接情報を収集できる「従業員マイページ」、そして人事関連の情報に関する「ワークフロー」などの機能を持っており、HR領域における従業員からのペーパーレス情報収集や行政機関へのワンストップ申請を実現するという。
まず、「社保・労保の手続き」については、イベント別のボタンを押すと、健康保険、労働保険、雇用保険などの入力フォームが出てくる。これは実際の帳票ではなく、分かりやすいフォームになっており、上から順に入力していけば実際の帳票が出来上がるという仕組み。e-GovとAPIでつながっているため、あとはそのまま提出すればよい。これまで半日仕事だった提出作業がものの数分で終わってしまうというわけだ。
また、特に人気のある機能が「従業員マイページ」だ。入社手続きや氏名変更、年末調整、住所変更 扶養増減時などに情報を各自で入力してもらうというもので、遠方の営業所勤務でもテレワークでも顔を合わせることなく情報をダイレクトに取ることができる。このデータを用いることで行政手続きの提出が迅速に完了できる。池邉氏は「電子申請がどんなに便利で、システムを入れたとしても、それ以前の社内の従業員から情報を集めるところにおいてもデジタル化をしなければ、半分しか利便性は得られない」と社内情報のデジタル化の重要性を訴えた。
なお、オフィスステーション労務では、マイページへの入力は極力選択式になっており、クリックして選択していけばデータとして入力されている。あとは紐付いてサインを取ればOKということになる。通勤経路入力にGoogle Mapを使い、口座情報入力もすでに入っている銀行情報から選ぶだけでよい。他にもパート・アルバイトといった有期雇用者への労働条件の通知と合意が簡単にでき、部署や役職など閲覧権限も容易に設定できる。また、誰がどう申請して承認、決済を行うか、ワークフローも簡単に設定できる。