パーソル総合研究所は、一般社員層(非管理職)の異動配置に関する調査結果を発表した。
同調査は、非管理職の異動配置に関する実態を定量的なデータで把握し、経営・人事に資する提言を行うことを目的に実施。調査期間は7月21日~8月1日で、調査対象は以下となっている。
- 共通条件:従業員300人以上(農業、林業、漁業、国家公務、地方公務は除外)
- 企業対象調査:人事管理(異動配置)を把握している人事担当・経営層 年齢70歳未満:652人
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従業員対象調査:
①一般社員層(非管理職層):年齢20~59歳 正社員 総合職一般社員 勤続1年以上 男女:3000人
(平成27年国勢調査 正規の職員 年代別構成比と令和元年度雇用均等基本調査の男女別の総合職・限定総合職の割合を掛け合わせ、割付を作成。男性20代は割付数に満たなかったため、30~50代の男性で不足分を補填)
②現在の会社で5年以内の「会社主導」による異動経験者(直近の異動に限る):900人
③現在の会社で5年以内の「個人希望」による異動経験者(直近の異動に限る):200人
※②③は①と重複するサンプルが含まれる
調査結果は以下のとおり。
異動者の割合
経営層・人事に尋ねたところ、一般社員層における1年間あたりの異動者の割合は、平均で約2割であった。数年間でみると社内の相当数が異動することになり、企業にとって異動配置に関する戦略や施策が重要だという。
異動配置の重要性を認識する一方、明確な方針がある企業は少ない
経営層・人事に尋ねたところ、人事管理の各種取り組みのうち、一般社員の戦略的異動配置が重要との回答割合は70.1%となった(「非常に重要である」と「重要である」の合計)。しかし、非管理職の異動配置について「明確な方針がある」という企業の割合は35.0%。新卒から34歳くらいまでの若年層に限って尋ねても「明確な方針がある」という割合は38.0%であり、重要性の認識と実際の取り組みとのギャップがうかがえるとしている。
本人意向を反映する異動の制度
経営層・人事に尋ねたところ、社内公募の制度や仕組みがある企業の割合は55.7%であり、フリーエージェント制度がある企業の割合は34.8%であった。
本人意向による異動の現状
社内公募制がある企業のうち、48.2%が「ごく限られたポジション」と回答。社内公募制・フリーエージェント制・キャリア自己申告制を合計した本人意向(手挙げ制)による異動は約1割であった。これらの結果より、実際に本人意向に基いて異動できるケースは限定的だと推察している。
社内公募への応募条件
調査の結果、社内公募に応募するにあたり様々な条件が課されていることが判明。たとえば「所属部門の上司の許可や推薦を得る必要がある」との回答割合は45.2%となり、応募による異動を抑制している可能性があるという。
会社主導の異動に対する受け入れ意向
会社の指示による「転勤」をともなう異動について、拒否する意向を持つ人は30.6%、拒否できない場合に退職や転職を検討する人は11.5%であった。
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