ワークポートは、女性活躍推進法の改正に際し、「女性活躍推進」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 対象:同社を利用している全国の企業の人事担当者
- 有効回答:139人
- 期間:2022年4月12日~4月19日
- 方法:インターネット調査
【女性活躍推進状況】取り組んでいる企業は54.0%という結果に
100名以下から5000名以上の様々な規模の企業の人事担当者に、女性活躍推進の取り組みをしているか聞いたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は54.0%という結果となった。また、現在取り組んでいないが「これから取り組む予定」と回答した企業は7.9%だった。
取り組んでいると回答した企業に取り組みの内容を聞いたところ、「従業員に占める女性の割合を増やす」(コンサルティング・調査・士業)など、女性の採用率を上げることを目指すという回答が多く挙がった。また、「成果主義の徹底による女性の役職者登用」(建築関連企業)など、女性管理職の比率を増やすよう努める企業も多い。女性の管理職希望者を増やすために、女性向けの研修や説明会を実施し、管理職に対する不安を払拭するよう工夫する企業も見受けられた。
また、「産休育休の制度設計、実績強化」(システム開発・情報通信)や、「産前産後休暇、ベビーシッター補助などの福利厚生」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)、「テレワーク勤務および時短勤務の導入」(ネットワーク・サーバー構築)など、制度や福利厚生を充実させ、働きやすさの向上に努めているという意見も多数挙がった。他にも、厚生労働大臣が女性活躍や子育てサポートの促進などに積極的な企業を評価する認定制度「えるぼし」や「くるみん」の認証に向けた取り組みを通じて、推奨される女性活躍の環境を整えようとする企業もあった。
【女性活躍推進のネック】56.8%がネックあり 推進に割ける人員・時間の不足、女性活躍への意識の低さ
人事担当者全員に、女性活躍の取り組みを推進するにあたってネックはあるか聞いたところ、「ネックはある」と回答した企業が56.8%に上った。
「ネックはある」と回答した企業に、ネックになっているのはどんなことか聞いたところ、「人員不足で取り組む余裕がない」(メーカー)など、取り組みたいという意思はあるものの、取り組みに割ける人員や時間が不足しているとの回答が多数見受けられた。また、女性が活躍できる環境を整え定着率を向上させようとしても、「育児と仕事の両立が難しい」(小売・販売)、「結婚・出産後の退職率の高さ」(システム開発・情報通信)など、家庭と仕事の両立が難しいという理由で離職を選択する女性社員が多いこともネックとなっているようである。また、「女性管理職が少なく、なりたがる社員が少ない」(システム開発・情報通信)など、管理職および管理職志望の女性の少なさもネックとして挙がった。人事担当者は「女性活躍推進のために、女性が活躍できる環境を整えたいと考えていても、管理職志望の女性の少なさゆえに、取り組みが進まない」というジレンマを抱えていることが分かった。その他、「対象となる女性社員が少ない」(技術サービス)、「女性の採用が少ない」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、そもそも女性社員が少ないため、取り組みを推進するに至っていないという意見も挙がっていた。
また、「会社が女性活躍を想定していないため、優秀な人材を採用しない」(建築)、「上層部・社員の無理解、無関心。女性社員自身も考え方が古い」(商社)など、社内の女性活躍への意識が低いことがネックになっているという意見もあった。特に、比較的女性が少ない業界は、古い体質、体制が残り、女性活躍推進が進まない様子がうかがえた。女性社員が少ないゆえに「女性だからというバイアスが良くも悪くも働くこと」(建築)などの意見も挙がった。
【女性管理職の比率】半数以上が10%以下、7割が女性管理職の少なさを課題と認識
企業の人事担当者全員に、管理職に占める女性の割合はどれくらいか聞いたところ、1%未満が28.8%、1%〜10%が27.3%と、半数を超える56.1%もの企業が10%以下であることが分かった。依然として、国際的に見ても女性管理職が少ない日本の水準が表れる結果となった。
また、管理職に占める女性の割合を多いと感じるか、少ないと感じるか聞いたところ、69.1%もの企業が「少ない」と回答した。「ちょうどいい」と考える企業は26.6%で、「多い」と感じる企業は4.3%にとどまった。半数以上の企業が、管理職の女性割合に課題を感じていることが分かった。
【女性活躍のメリット】82.7%がメリットが多いと回答、男女平等には女性の活躍が必須
人事担当者全員に、女性の活躍が自社に与えるメリットは多いと感じるか聞いたところ、「メリットが多い」と回答した企業が82.7%と大多数を占めた。
「メリットが多い」と回答した企業に、理由を聞いたところ、「女性ならではの感性を業務に活かせるから」(サービス・アミューズメント)、「新しい意見や考えを取り入れることができるから」(システム開発・情報通信)など、女性の意見も聞くことで、多様なアイデアが生まれることに期待するという意見が多く挙がった。また、「女性の活躍なくして会社の成長もないから」(システム開発・情報通信)、「女性が経営の意思決定に入ってくることで、組織が強くなるから」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、企業の成長のためには女性の活躍が必須と考えるという意見もあった。他にも、「女性活躍推進とともに社内の制度改革ができるから」(WEBサービス・広告・コンテンツ制作)など、女性活躍を推進することで、男女ともに働きやすい仕組み作りが進むという意見もあった。
その他、女性が活躍しているというモデルケースができることで、「求職者が比較的多くなり能力の高い社員を採用できる確率が高くなるから」(小売・販売)、「女性が活躍する=多様な働き方につながり、採用活動がしやすくなるから」(システム開発・情報通信)という意見も多く挙がった。女性が活躍できる企業だからこそ、求職者が集まり、優秀な社員を採用できる可能性が高まると考えているようだ。
【関連記事】
・働き方に関する調査第1弾「女性活躍に関する調査」を実施、女性活躍「進んでいる」との回答は4割―マルコ
・企業での女性活躍応援プログラム「ミンナハレ」を提供開始―サントリーパブリシティサービス
・「2030年までに女性管理職比率37%」を目指し施策を発表、4月時点では22.9%―パーソルホールディングス