識学は、「管理職に関する調査」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査対象:全国の従業員数10名以上の企業に勤める20~59歳の男女の会社員
- 有効回答数:300サンプル(管理職:150名/非管理職:150名)
- 調査期間:2023年1月6日~1月11日
- 調査方法:インターネット調査
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
Q1.【管理職ではない人】あなたは管理職になりたいと思いますか
現在管理職ではない人に「管理職になりたいか」聞いたところ、「なりたいと思う」と回答したのは8.0%で、「条件(給与面など)によってはなりたいと思う」が20.0%、「なりたいとは思わない」が72.0%となった。
男女別に見ると、男性で管理職に「なりたいと思う」と回答したのは12.0%だったのに対し、女性はわずか4.0%だった。また、「子どもの有無」での内訳を見ると、子どもがいる人は、管理職に「なりたいと思う」が10.0%だったのに対し、子どもがいない人は6.3%となった。
Q2.【管理職ではない人】あなたが管理職になりたくないと思う理由をお答えください
では、どのような理由があって管理職になりたくないのだろうか。前問で「管理職になりたくない」と回答した人に、その理由を聞くと、「出世欲がないから」が50.9%と最も高く、次に「責任が伴うから」50.0%、「仕事量が増えるから」42.6%となった。
また、「給与が伴わないから」23.1%、「現状に満足しているから」9.3%、「今やりたい仕事ができなくなるから」7.4%は比較的低く、根本的に“出世をしたくない”という人が多いことがうかがえる。
Q4.【管理職の人】あなたが管理職の立場で苦労していることは何ですか
一方、現在管理職の人に、管理職をする上での苦労を聞いたところ、「部下の指導や育成」が49.3%と最も高く、「責任が重い」が39.3%、「部下とのコミュニケーション」が36.7%、「上司と部下との板挟み」が34.0%となった。
現在管理職ではない人で上位だった「責任の重さ」ももちろんあるようだが、実際には上司や部下との“人間関係”が最も苦労しているようだ。また、「特に苦労はしていない」は15.3%だった。
Q5.【管理職の人】あなたが管理職の立場でやりがいに思うことは何ですか
「管理職のやりがい」とは一体何なのだろうか。管理職の人へ、そのやりがいについて聞いてみると、「やりたいことができること」が38.0%と最も高く、「自分が成長できる」36.7%と続いた。前問の「管理職の苦労」で挙げられたのは人間関係だったが、やりがいはやはり自己実現にあるようだ。
しかし、3位の「チームで成果をあげること」が36.0%と高いように、人間関係の苦労はもちろんあるが、チームとして成し遂げることも大きなやりがいとなり、それらは「給与が上がる」の29.3%よりも高いことから、“お金では得られないもの”にやりがいを感じていることがうかがえる。
Q6.【管理職の人】あなたは管理職として、自分の役割を果たすために十分な権限があると感じますか
では、管理者の人は、スムーズに業務を遂行できるような、部下に戦略遂行を指示するための権限や、部署内のルールを作る権限を与えられているのだろうか。自分の役割を果たすために十分な権限があると感じているかを聞いたところ、権限があると「感じる(やや感じるも含む)」と回答したのは54.7%だった。
これは、約半数近くの管理者は、権限が十分にあると感じておらず、スムーズに業務を遂行できていないと言い換えることもできるだろう。そのことで、傍から見た「管理職になりたくない人」は、管理職に対してよりネガティブな印象を持つのかもしれない。
Q7.【全員】女性管理職を増やす社会全体の動きについて、あなたはどう思いますか
日本には国際的に女性管理職の割合が低いという現状があり、国として「女性活躍」を目標に掲げ女性管理職を増やす社会全体の動きがある。そこで、女性管理職を増やす社会全体の動きについて、その賛否を聞いたところ、「賛成(やや賛成も含む)」59.0%、「どちらとも言えない」34.3%、「反対(やや反対も含む)」6.7%となった。
多様性が叫ばれる昨今で、賛成以外の割合が多いような印象もあるが、賛成以外の人からは、そもそも性別で区別することの意味を問う声や、女性を管理職へ登用してもシステムが追いついていないといった声が挙がり、根本から否定的な人は多くなかった。
Q9.【全員】あなたは女性の管理職を増やすために、何が必要だと思いますか
Q1で女性の管理職になりたいという割合が男性よりも低かったことから、やはり女性にとって管理職になることのハードルは男性よりも高いようだ。このことを踏まえ、女性の管理職を増やすためには何が必要かを聞いたところ、「子育てや介護などの両立支援」が54.7%と最も高く、次いで「女性が不利にならないような人事評価の方法」50.0%、「育休や在宅勤務などの社内制度を設ける」43.3%となった。
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